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本日は、26SSコレクションよりFASCINATE_THE R (大阪心斎橋)にて新しく取り扱いを開始するブランド、Ten c(テンシー)をご紹介いたします。
アウターウェアの機能素材や染色技術に興味をお持ちの方であれば、一度はその名や独特の生地感に触れたことがあるかもしれません。
衣服としての本質的な耐久性と、長年付き合うことで生まれる経年変化を追求したプロダクトの全貌を、具体的な事実とともにお伝えいたします。
ブランドの設立背景とデザイナーの経歴
Ten cというブランドの根本には、これまでのイタリアのスポーツウェア産業において素材と染色のノウハウを蓄積してきたデザイナーたちの明確な目的意識が存在します。
機能素材と製品染めを追求してきた2人のデザイナー
ブランドを立ち上げたのは、アウターウェアの分野において数々の革新的な素材開発を行ってきたポール・ハーヴェイと、アレッサンドロ・プンジェッティです。
ポール・ハーヴェイは、機能素材を用いたイタリアのブランド「Stone Island(ストーンアイランド)」にて、12年間チーフデザイナーを務め、ブランドの成長を牽引した経歴を持ちます。
一方のアレッサンドロ・プンジェッティは、同じくイタリアのミリタリーやワークウェアをベースとした「C.P. Company(シーピーカンパニー)」のデザイナーとして活躍していました。
「一生着られる服」を目的としたブランドの始動
最前線で機能素材と向き合ってきた彼らが、「自分たちが本当に着たい服、そして一生涯着続けられる服を作る」という目的のために設立したのがTen cです。
トレンドによって消費される衣服ではなく、素材の耐久性と普遍的なデザインを組み合わせることで、年月を経るごとに完成に近づいていくプロダクトを生み出すことを理念としています。
Ten cを形作るデザインの特徴
彼らの思想は、製品のデザインアプローチに顕著に表れています。
「裸の王様」に由来するブランド名とロゴレスの徹底
ブランド名「Ten c」は、アンデルセンの童話『裸の王様(The Emperor's New Clothes)』の頭文字から名付けられています。
この名称には、「ブランドのロゴや知名度といった『見えない服(付加価値)』に惑わされることなく、服そのものの本質的な価値を見極めてほしい」というメッセージが込められています。
そのため、Ten cの衣服の表面には、ブランドを主張するロゴマークなどが一切配置されておらず、非常に匿名性の高いミニマルな外観に仕上げられています。
ヴィンテージミリタリーの構造とサルトリア技術の融合
デザインの基盤となっているのは、1950年代から60年代にかけて製造されたヴィンテージのミリタリーウェアです。
アノラック、フィールドジャケット、モッズコートといった、過酷な環境下で機能するために生まれたミリタリーウェアの構造を抽出しています。
しかし、単なるミリタリーの復刻ではありません。
イタリアの伝統的なサルトリア(仕立て屋)の技術を用いることで、立体的なカッティングを施しています。
腕の可動域を確保するパターンや、着用時に美しく立ち上がるフードの設計など、人体工学に基づいた仕立てを行うことで、野暮ったさを排除し、現代の都市生活に適応するシルエットを構築しています。
日本発・イタリア仕上げの高密度素材「OJJ」の特徴
Ten cを語る上で欠かせないのが、ブランドの代名詞とも言える独自素材「OJJ(Original Japanese Jersey)」の存在です。
小松マテーレが製造するナイロンポリエステルの超高密度ニット
OJJは、日本の石川県にあるファブリックメーカー「小松マテーレ」などで製造されている特殊な生地です。
ナイロンとポリエステルをブレンドした糸を使用し、通常の織物(布帛)ではなくニット(ジャージー)組織で編み上げられています。
編み物でありながら、極限まで密度を高めて製造されているため、高い防風性と撥水性を確保しています。
130〜140度の高温高圧下で行われるイタリアでの製品染め
日本で編み上げられたこの高密度ジャージー生地をイタリアへ運び、製品の形に縫製した後に染色を行います。
この製品染め(ガーメントダイ)の工程において、130度から140度という非常に高い温度と圧力下で染色処理が施されます。
この過酷な工程を経ることで生地が極限まで凝縮され、自立するほどの独特なハリ感と、レザーのような重厚な質感が生まれます。
体温で馴染み、デニムのように育つ「経年変化」
OJJ素材の最大の特性は、着用によって生じる変化です。
新品の状態では硬くハリがありますが、着用者の体温が伝わることで繊維が緩み、徐々に身体の形に合わせて柔らかく馴染んでいきます。
また、着用時の摩擦が生じる箇所(肘やポケットの縁など)には、デニムのアタリのようなチョークマーク(白っぽい擦れ)が現れ、色が深く沈み込んでいきます。
所有者の生活習慣が直接生地に刻まれ、経年変化を楽しむことができる素材です。
ブランドを代表する定番アイテム(The Forever Collection)
Ten cは、シーズンごとにデザインを大きく変えるのではなく、「The Forever Collection(永遠のコレクション)」と名付けられた定番のアウター群を継続して展開しています。
ここでは、その代表的なモデルの仕様をご紹介いたします。
| モデル名 | 特徴とファクト |
|---|---|
| ANORAK | ブランド設立当初から展開されている象徴的なモデル。狩猟用のウェアをベースにしており、背面に大きなゲームポケットを配置。立体的なフード構造とショート丈のバランスが特徴。 |
| TEMPEST ANORAK | スモック型のアノラックを前開き仕様にアップデートしたモデル。フロントにマチ付きの立体的な大型ポケットを配置し、実用性と収納力を高めた設計。 |
| FIELD JACKET | M-65フィールドジャケットをデザインソースにした一着。4つのフロントポケットやエポレットなどミリタリーのディテールを残しつつ、サルトリア技術による綺麗なシルエットで構築。 |
| PARKA | アメリカ軍のM-51(通称モッズコート)をベースにしたコート。フィッシュテールやフラップポケットの意匠を踏襲しながら、OJJ素材を用いることで重厚かつ洗練された外観に仕上げている。 |
26SS 大阪店舗展開アイテムの詳細解説
ここからは、今季当店に入荷する26SSシーズンの新作アイテムについて、具体的なスペックやファクトを交えて詳しくご紹介いたします。
定番のOJJに加え、高機能なナイロン素材や、製品染めを施したカットソー類も展開されます。
アウター&シャツアイテム
・FAIR ANORAK
価格:138,000円 (税抜)
素材:[表地]ナイロン 100% [部分生地] ポリエステル 70%,ナイロン 30%
高強度のナイロンを100%使用したアノラックパーカーです。
速乾性と弾力性に優れ、パリッとしたハリのある質感が特徴です。
フロントはファスナーとボタンの2ウェイ仕様となっており、風の侵入を防ぐ比翼仕立てを採用しています。
キャップのツバを備えた立体的なフードにはドローコードが内蔵され、左胸にボタン開閉式の斜めポケット、前身頃の左脇下にはラバー製のブランドロゴがプリントされています。
適度なゆとりを持たせたリラックスフィットの設計です。
・WIND COMBO BONDED SHIRT
価格:120,000円 (税抜)
素材:[表地]ナイロン 100% [部分生地] ポリエステル 70%,ナイロン 30%
ナイロン100%の表地をベースに、ポリエステル70%・ナイロン30%の混紡生地を部分的に組み合わせたブルゾンです。
異素材のコンビネーションが視覚的なコントラストを生み出し、機能的でありながらデザインのアクセントとして機能します。
・HELM JACKET
価格:133,000円 (税抜)
ショート丈に設定されたブルゾンタイプのジャケットです。
装飾を抑えたシンプルな構造で、深いブラックのカラーリングがミニマルな印象を与えます。
・MID LAYER
価格:60,000円〜84,000円 (税抜) ※モデルにより異なります
素材:[表地]ナイロン 100% [部分生地] ポリエステル 70%,ナイロン 30%
半袖シャツ型のミッドレイヤーアイテムです。
ナイロン100%の表地にポリエステル・ナイロンの混紡生地を組み合わせており、春夏シーズンのレイヤードスタイルにおいて、温度調節と視覚的な奥行きを作り出す役割を果たします。
インナーアイテム(スウェット・Tシャツ)
・FELPA GIROCOLLO
価格:46,000円 (税抜)
素材:[表地] コットン 100% [部分生地] ポリエステル 70%,ナイロン 30%
コットン100%のジャージ生地を使用したクルーネックスウェットです。
製品縫製後に「ダストダイ」と呼ばれる染色手法とトリートメント加工を施すことで、ふんわりとした質感と奥深い色合いを実現しています。
左袖にはファスナー開閉式の異素材ポケットを配置し、袖口と裾元はリブ地で切り替えられています。
身幅にゆとりを持たせたリラックスフィットを採用しています。
・T-SHIRT MANICA CORTA
価格:17,000円 (税抜)
素材:[表地] コットン 100%
肌理細やかなコットンジャージ生地を使用した半袖Tシャツです。
こちらもダストダイによる製品染色とトリートメント加工が施されており、陰影のある発色と滑らかな感触が特徴です。
袖口と裾元はリブ地に切り替えられ、前身頃の左脇下にラバー製ロゴと縦長ボックス形状のポケットを配置。
後身頃の左下側には新デザインのパッチタイプブランドタグが配されています。
着丈と袖丈がやや短めに設定されたバランスの取れた一着です。
ボトムスアイテム
・PANTALONE CARGO TASCONATO
価格:66,000円〜71,000円 (税抜) ※カラーにより異なります
素材:[表地]ナイロン 100% [部分生地] ポリエステル 70%,ナイロン 30%
ナイロン100%の高強度素材をメインに使用し、ポリエステル・ナイロンの混紡生地を部分使いしたカーゴパンツです。
フロントにはボタンで開閉可能な大型の立体ポケットを備え、ウエストと裾元にはフィット感を調整できるドローコードを内蔵。
左後身頃上部にはラバー製のロゴがプリントされています。
レングスがやや長めで、裾幅を広めに取ったワイドシルエットを採用しており、防水性と速乾性にも優れた実用的なボトムスです。
・PANTALONE BERMUDA
価格:62,000円 (税抜)
素材:[表地]ナイロン 100% [部分生地] ポリエステル 70%,ナイロン 30%
ブラックカラーで展開されるショート・ハーフパンツです。
春夏シーズンのスタイリングにおいて、トップスを選ばずに組み合わせやすい汎用性の高いアイテムです。
スタッフの着用サイズ感
サイズ選びの参考に、体型の異なるスタッフの着用感をご紹介いたします。
【着用サイズデータ】
| スタッフA(172cm / 64kg) 着用:Size 46 |
[サイズ感] ジャストサイズです。Tシャツや薄手のスウェットの上から無理なく着用できるフィット感です。 |
|---|---|
| スタッフB(178cm / 72kg) 着用:Size 48 |
[サイズ感] サイズ48で全体のバランスが綺麗にまとまります。ミリタリーウェア特有の適度なゆとりを感じられるサイズです。 |
| スタッフC(182cm / 68kg) 着用:Size 50 |
[サイズ感] 身長と肩幅に合わせて50を選択しています。ワイドパンツと合わせたリラックスしたスタイリングに向いています。 |
改めて振り返る、Ten cの魅力
最後に、今回ご紹介したTen cの要点を整理いたします。
- 機能素材と染色技術を牽引してきたデザイナー2名による「一生着られる服」の追求
- ロゴを完全に排除し、服の構造そのもので価値を提示するデザインアプローチ
- 防風性と撥水性を備えた日本製の超高密度ジャージー生地「OJJ」の採用
- イタリアでの130〜140度の高温高圧製品染めによる、体温で馴染む質感と経年変化
- ヴィンテージミリタリーの機能美に、サルトリアの立体的なカッティングを融合
衣服の背景にある明確な理由と、着用者の時間を刻み込んでいく素材の強さを、ぜひ実店舗にて直接お確かめください。
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FASCINATE_THE R (大阪心斎橋) にて、皆様のご来店を心よりお待ちしております。