当店で新たに取り扱いを始める、日本のメンズブランド「ATTACHMENT(アタッチメント)」をご紹介します。
1999年の創業以来、「服は着る人を引き立てるための付属品」という考え方を変えずに続けてきたブランドです。
ロゴや装飾で目立たせるのではなく、糸から作り込む素材と緻密なパターンで評価されてきました。
見た目はシンプルですが、中身はかなり濃いブランドです。
私が店舗で扱いたいと思った理由も、派手さではなく、作りの良さと価格のバランスに納得できたからでした。
今回はブランドの歴史、二代のデザイナー、いまのコレクションの特徴、そして26SSの入荷予定まで、ひと通り解説します。
ATTACHMENT(アタッチメント)とはどんなブランドか
アタッチメントは、1999年春夏シーズンにデザイナーの熊谷和幸氏が立ち上げた日本のメンズブランドです。
ブランド名の「アタッチメント=付属品」が、そのまま服づくりの姿勢を表しています。
服が主役になるのではなく、着る人の個性や雰囲気を引き立てる「付属品」であること。
だからロゴや余計な装飾を意図的に省き、ぱっと見では誰の服か分からないくらいシンプルにまとめています。
この姿勢は創業から今まで変わっていません。
派手さで勝負しない代わりに、力を入れているのは「素材」と「パターン」という、外から見えにくい部分です。
実物を手に取ると、ただのシンプルな服との違いがはっきり分かります。
個人的に評価しているのは、価格とのバランスです。
アタッチメントは生地を日本国内で一から開発していますが、価格は抑えめ。
高品質なのに手の届く値段で買える、という見方をしています。
ここ数年で「クワイエットラグジュアリー(ロゴに頼らない上質さ)」がよく言われるようになりましたが、アタッチメントはそれを20年以上前から続けてきたブランドで、流行に乗ったわけではない、という点も信頼できると思っています。
ブランドの歴史と歴代デザイナーの変遷
アタッチメントの服を理解するうえで、歴史と作り手の交代は知っておきたいところです。
創業者の熊谷氏は、イッセイミヤケでの勤務や小物のOEM(メーカーとして製造を請け負う仕事)を経て、1999年にアタッチメントを立ち上げました。
2007年には「カズユキクマガイ(KAZUYUKI KUMAGAI)」でパリコレクションにデビューし、翌年にはランウェイショーも行っています。
そして2022年春夏で熊谷氏が退任し、2022-23年秋冬から二代目の榎本光希氏が、2009年以来13年ぶりのランウェイショーで新体制を始めています。
創業者・熊谷和幸氏:素材第一主義の基礎を築いたデザイナー
ブランドの土台を作ったのが、創業者の熊谷和幸氏です。
熊谷氏の服づくりは「素材第一主義」と言えます。
出来合いの生地から選ぶのではなく、日本各地の生地産地に自分で足を運び、機屋(はたや)と一緒に糸の選定から生地を作る。
手間もコストもかかる方法を続けてきました。愛知・尾州などのウール産地との協業はその代表例です。
シルエットは、身体に沿うシャープなカッティングと細身のフォルムが熊谷時代の特徴でした。
ミリタリーやワークウェアの無骨さを残しつつ、それをきれいで上品な形にまとめる。
この「糸から作る素材」と「緻密なパターン」という二本柱は、デザイナーが代わった今もブランドの背骨として残っています。
二代目デザイナー・榎本光希氏:職人気質でブランドを進化させる
2022-23年秋冬から、アタッチメントのデザイナーは榎本光希氏に代わりました。
榎本氏の経歴は、いわゆる華やかなデザイナーとは少し違います。
榎本氏は1985年、東京都の生まれ。
古着やミリタリーが身近な環境で育ち、中学のころから原宿に通って服を買っていたそうです。
二葉ファッションアカデミーで服づくりを学びますが、もともとはデザイン画を描く人ではなく、型紙を作るパタンナーを志望していました。
2006年、20歳でアタッチメントに入社。
当時はまだ社員7人ほどの小さな体制で、生産管理やシューズなど小物の企画を担当しています。
ここで効いてくるのが、熊谷氏から受けた教えです。
靴でもバッグでも「まず自分で試作して、構造や履き心地を確かめてから職人さんに相談しなさい」という基本姿勢。
榎本氏は今も、自分で何度も試作してから人に頼むようにしていると話しています。
この「自分の手で作ってから判断する」やり方が、ブランドの作りの良さを支えています。
6年在籍するあいだに2008年からのパリのショーも経験しますが、パリでの発表がなくなったことと、自分の成長への危機感から、26歳でアタッチメントを離れます。
移った先は、高橋盾氏が率いるアンダーカバー(UNDERCOVER)。
ここでは生地(テキスタイル)の担当として、生地屋と直接やり取りする経験を積みました。
続いて堀川達郎氏のユリウス(JULIUS)へ移って約6年。
企画や小物を担当し、のちにプレラインを任され、商品構成やルックの組み立てまで、服づくりを通しで覚えています。
2019年にアタッチメントへ復帰すると、翌2020年春夏には自身のブランド「ヴェイン(VEIN)」をパリで立ち上げました(運営はアタッチメントと同じ会社です)。
こうして素材・パターン・企画をひと通り経験したうえで、2022-23年秋冬から本家アタッチメントのデザイナーに就いています。
就任最初のコレクション(2022-23年秋冬)のテーマは「Volition(意志)」。
白い絵の具を塗り重ねる画家ロバート・ライマン氏の「何を描くかではなく、どう描くか」という言葉から発想し、同系色でも質感の違う生地を重ねたレイヤードを見せました。
熊谷時代の硬くシャープなイメージに対し、榎本氏は肩の力が抜けたリラックス感を持ち込んでいます。
榎本氏は今でも「『デザイナー』という肩書きがしっくりこない」と話しています。
個人的には、この感覚がいまのアタッチメントの服の性格をよく説明していると思います。
流行のデザインを描くというより、生地と構造から服を組み立てる職人寄りの人。
だからこそ、出来上がるのは「ファッションのための服」ではなく、長く着られるよく作られた服になる。
トレンドを一巡した大人にこそ合う理由だと感じています。
ATTACHMENT(アタッチメント)の服が持つ4つの特徴
いまのコレクションの特徴を、デザイン・シルエット・素材・サイズ感の4つに分けて見ていきます。
特に素材はこのブランドの核なので、少し厚めに書きます。
引き算の美学が光るミニマルな「デザイン」
基本は引き算です。目立つロゴや装飾を外し、色もブラック、ネイビー、ダークグレーといった暗めのトーンが中心。
そこにくすんだアースカラーを少し混ぜる程度です。
要素を減らすことで、服ではなく着る人が前に出るようにしています。
ただ削るだけではありません。上位ライン「STILL ATTACHMENT」では、チェスターコートの襟裏にレザーを使ったり、見えない位置に隠しポケットを付けたりと、知っている人だけが気づく工夫が入っています。
派手さではなく、着ている本人が分かる満足感に振っているのが特徴です。
身体構造に基づき動きやすさを両立した「シルエット」
装飾がない分、服の良し悪しはシルエットで決まります。
アタッチメントの型紙は身体の構造を踏まえて作られていて、見た目はすっきりなのに動きやすい、というのが持ち味です。
分かりやすい例が「13オンスデニム 3Dジーンズ」の立体裁断です。
平面ではなく、脚のカーブや関節の動きに合わせて裁断・縫製するので、厚手で硬くなりがちな13オンスでも、座ったり歩いたりしたときの突っ張りが少ない。
テーラードジャケットでも肩を少し落とすなど、きちんと感とリラックス感を一着の中で両立させるのが、いまのシルエットの考え方です。
ブランドの核となる糸から作り込むこだわりの「素材」
このブランドで一番語りたいのが素材です。
デザイナーの榎本氏が生地から発想するタイプということもあり、生地選びと開発はデザインの「結果」ではなく「出発点」になっています。
代表的な生地をいくつか挙げます。
まず「フィブリルサテン」。キュプラとポリエステルを織り合わせた生地の表面を、わざと細かく毛羽立たせる「フィブリル加工」をかけたものです。
サテンの上品な光沢を残しながら、粉のようにしっとりした肌当たりに仕上がります。
Tシャツに使われ、きれいめな生地感とカジュアルな形が一枚で同居します。
カットソーでは、繊維の長いアメリカ産超長綿を高い密度で両面に編んだ「ダブルフェイス」も主力です。
高密度に編むので、適度なハリと厚みが出て型崩れしにくい。
同じ考え方で、カシミヤのように滑らかなピマコットンを2枚重ねて縫い、仕上げに「製品染め」をかけたTシャツもアタッチメントらしい一枚で、編み目が詰まることで、古着のような柔らかい風合いが長く続きます。
作り込みの細かさが分かるのがデニムです。
13オンスという厚い生地でも、縦糸の張り方や織りの密度を調整して、数字から想像する硬さを抑え、柔らかく仕上げています。
トラウザーズには、ウールのような見た目で霜降りの色味を持ちつつ、シワになりにくくストレッチも効く「PEストレッチダブルクロス」などもあり、見た目の良さと、洗えて扱いやすいという日常の使いやすさを両立させています。
私が一番大きいと思ったのは、この「生地から作る」やり方が、デザイナーが代わっても引き継がれている点です。
榎本氏は熊谷氏のもとで素材づくりの基礎を学び、その後アンダーカバーでも生地を担当していました。
作り手が代わっても素材のレベルが落ちていない。長く付き合えるブランドだと判断した、大きな理由です。
現代の空気に合わせたリラックスした「サイズ感」
昔のタイト中心から、いまは適度にゆとりのあるリラックスフィットが主流です。
ただ単なるオーバーサイズではなく、肩や身幅にゆとりを取りつつ、袖口や裾はきれいに細くするなど、全体ではすっきり見えるよう作られています。
サイズに迷うときは、普段のサイズを基準にしながら、店舗で実物のシルエットを確かめていただくのが確実です。
2026SS(春夏)コレクション
26SSのテーマ「Easily」が示すソフトフォーマリティ
26SSコレクションは、2025年7月に東京・天王洲の寺田倉庫で発表されました。
テーマは「Easily」。イタリア語で気取らない優雅さを指す「スプレッツァトゥーラ」をキーワードに、意志はありつつも肩の力が抜けた、やわらかい男性像(ソフトフォーマリティ)を打ち出しています。
榎本氏がこのシーズンで参考にしたのは、1980年代にジョルジオ・アルマーニ氏が広めたソフトスーツの感覚だそうです。
硬いスーツを楽にしたその流れに重ね、アタッチメントでも肩パッドを省いて芯地だけで仕立てたジャケットを作り、素材自体もやわらかくしています。
主役はサマージャケットです。
芯を固めたクラシックなテーラードではなく、やわらかく身体に沿うソフトテーラードが中心で、風を含んで広がるジャケットやワイドパンツが多く登場しました。
装飾を省いたシルクカシミヤのニットは、今季の力の抜けた方向性をよく表す一枚。
サテン素材のシャツやショーツには控えめな光沢が効いています。色はグレーやブラックが基調です。
足元はスムースレザーのローファーやサンダルで、かかとを踏むバックレスでの履き方も提案されました。
首元には「about us」と刻んだチャームが付きます。
軽さときちんと感が同居する、ブランドの言う「可動性のある服」らしい内容でした。
入荷予定アイテム|店舗・通販での展開
当店に入荷予定のアイテムを、品番ごとに紹介します。
今回はデニム3型、トラウザーズ2型、カットソー4型を予定しています。
気になるものがあれば、店舗・通販どちらでもお問い合わせください。
13オンスデニム 3Dジーンズ(13OZ DENIM 3D JEANS)
- 品番:AP61-008
- 入荷予定サイズ:1
- 価格:¥46,200(税込)
- カラー:ライトネイビー(L.NAVY/)
- 素材:本体 綿100%(ラベル部分 ポリウレタン100%)/日本製
- デザイン:アタッチメントが得意とする立体裁断(3Dパターン)のデニムです。
熟練職人による本物のユーズド加工で、古着のような表情に仕上げています。 - シルエット:脚の動きに自然に沿う立体的なライン。厚手のデニムですが、太もも〜膝に程よい丸みがあります。
- サイズ感:立体裁断のおかげで、13オンスの厚みでも動きを邪魔しません。
185cmのモデルがサイズ3を着用しています。
13オンスデニム ストレートジーンズ(13OZ DENIM STRAIGHT JEANS)
- 品番:AP61-009
- 入荷予定サイズ:1 / 2
- 価格:¥41,800(税込)
- カラー:ライトネイビー(L.NAVY)、ブラック(BLACK)
- 素材:本体 綿100%(ラベル部分 ポリウレタン100%)/日本製
- デザイン:ベーシックな5ポケット。強めのヴィンテージ(USED)加工で、デニムらしい無骨さを残しています。
- シルエット:クセのないストレート。3型の中では一番合わせやすい一本です。
- サイズ感:縦糸の調整で、見た目の無骨さのわりに穿き心地は柔らかめ。
185cmのモデルがサイズ3を着用しています。
11オンスデニム ワイドジーンズ(11OZ DENIM WIDE JEANS)
- 品番:AP61-010
- 入荷予定サイズ:1
- 価格:¥49,500(税込)
- カラー:ライトネイビー(L.NAVY)
- 素材:本体 綿100%(ラベル部分 ポリウレタン100%)/日本製
- デザイン:太い部分と細い部分が混ざる「ナチュラルムラ糸」で、表面に奥行きのある表情が出ます。
ユーズド加工は野暮ったくならないよう調整されています。 - シルエット:腰からストンと落ちるワイド。3型の中では一番ボリュームがあります。
- サイズ感:あえて軽い11オンスを使い、自然な落ち感を出しています。
185cmのモデルがサイズ3を着用しています。
PEストレッチダブルクロス ベルト付きストレートパンツ(PE STRETCH DOUBLE CLOTH BELTED STRAIGHT TROUSERS)
- 品番:AP61-079
- 入荷予定サイズ:2 / 3
- 価格:¥46,200(税込)
- カラー:ブラック(BLACK)
- 素材:ポリエステル59%、複合繊維(ポリエステル)36%、ポリウレタン5%(生地は日本製)
- デザイン:共地のベルト付き。同素材のジャケットとのセットアップも想定した一本で、ビジネスカジュアルからきれいめまで対応します。
- シルエット:フロントのタックで自然な立体感が出るストレート。
ウエストの後ろ半分がゴムで、楽に穿けます。 - サイズ感:ウールのような見た目ながらストレッチが効き、シワになりにくいイージーケアです。
185cmのモデルがサイズ3を着用しています。
コットンチノ グルカパンツ(36/2 CO CHINO GURKHA TROUSERS)
- 品番:AP61-031
- 入荷予定サイズ:2
- 価格:¥39,600(税込)
- カラー:ブラック(BLACK)
- 素材:綿100%(生地は日本製)
- デザイン:軍用のグルカパンツがベース。
二重ストラップのウエストバンドが特徴ですが、無骨になりすぎないよう整えています。 - シルエット:ワイドすぎない程よいゆとりのストレート(ペインターパンツ風)。
- サイズ感:薄手のチノにピーチ加工(起毛)で、しっとりした肌触り。
通年穿けます。185cmのモデルがサイズ3を着用しています。
キュプラ/ポリエステル フィブリルサテン S/S Tシャツ(CU/PE FIBRIL SATIN S/S TEE)
- 品番:AJ61-020
- 入荷予定サイズ:2
- 価格:¥16,500(税込)
- カラー:オフホワイト(O.WHITE)、ブラック(BLACK)
- 素材:本体 キュプラ67%、ポリエステル33%(リブ部分 ポリエステル100%)/生地は日本製
- デザイン:クルーネックで、袖口と襟元にリブ。
上品な光沢があり、ドレッシーな素材感とカジュアルな形が同居します。手洗いも可能です。 - シルエット:ゆったりめのリラックスシルエット。
- サイズ感:薄手で伸縮性があり、肌離れも良い生地です。
185cmのモデルがサイズ3を着用しています。
コットンダブルフェイス スリムフィットS/S Tシャツ(COTTON DOUBLE FACE SLIM FIT S/S TEE)
- 品番:AJ61-048
- 入荷予定サイズ:1 / 2 / 3
- 価格:¥16,500(税込)
- カラー:ブラウン(BROWN)、ダークグレー(D.GRAY)
- 素材:綿100%(生地は日本製)
- デザイン:素材の良さを見せる、無駄のないスリムフィット。ジャケットのインナーにも向きます。
- シルエット:すっきりしたスリム。
- サイズ感:アメリカ産超長綿を高密度に編んだ生地で、適度なハリがあり型崩れしにくい。
185cmのモデルがサイズ3を着用しています。
コットンダブルフェイス オーバーサイズS/S Tシャツ(COTTON DOUBLE FACE OVERSIZED S/S TEE)
- 品番:AJ61-049
- 入荷予定サイズ:2 / 3 / 4
- 価格:¥17,600(税込)
- カラー:カーキグレー(KHAKI GRAY)、ブラック(BLACK)
- 素材:綿100%(生地は日本製)
- デザイン:上のAJ61-048と同じ生地を、オーバーサイズの型紙にしたモデルです。
- シルエット:肩幅・身幅にゆとりがあり、生地の重みでドレープが出るリラックスシルエット。
- サイズ感:オーバーサイズです。
185cmのモデルがサイズ3を着用しています。
ピマコットンジャージー オーバーサイズレイヤードS/S Tシャツ(80/2 PIMA CO JERSEY OVERSIZED LAYERED S/S TEE)
- 品番:AJ61-074
- 入荷予定サイズ:2 / 3
- 価格:¥20,900(税込)
- カラー:ブラウン(BROWN/20)、ホワイト(WHITE/10)、カーキグレー(KHAKI GRAY/62)、ダークグレー(D.GRAY/03)、ブラック(BLACK)
- 素材:綿100%/日本製
- デザイン:アタッチメントの定番、2枚重ねのレイヤード仕様です。裾や袖口は切りっぱなし(カットオフ)になっています。
- シルエット:オーバーサイズのリラックスシルエット。
- サイズ感:カシミヤのように滑らかなピマコットンを2枚重ね、製品染めで編み目を詰めています。
185cmのモデルがサイズ3を着用しています。
アタッチメントの取り扱いは、当店の店舗 FASCINATE_THE R、FASCINATE KYOTOと通販にて。
気になるアイテムがあれば、お気軽にお問い合わせください。