FDMTL(ファンダメンタル)の定番デニムといえば、先日ご紹介したクラシックストレートとスリムデニムの印象が強いかもしれませんが、今季から新しく定番になったのが「ワイドフィットデニム」です。
東京を拠点に日本の卓越したデニム制作技術を用いて、デニムの可能性を発信し続ける同ブランドが、長年大切にしてきた襤褸や刺し子の美学を現代の空気感で再解釈した一着となっています。
溜まりと絞りで構成するバルーンテーパード
まずはシルエットの特徴から。このボトムスの特徴は、膝下にかけて描かれる独自の曲線シルエットにあります。
単に生地を広く取っただけの太いボトムスではなく、股上を深く設定し、ワタリにはたっぷりとゆとりを持たせつつ、裾に向かって緩やかに絞りを入れたシルエットを採用しています。
独自のパターン設計によって、足元に程よい溜まりができつつも、裾を引きずらないバランスが生まれています。
ワイドパンツに馴染みがない方でも、このメリハリのある形なら、野暮ったさを感じずにスッキリと履いていただけます。
ストレートモデルよりゆとりを持たせたリペア配置
ここで、以前紹介したストレートモデルとの構造的な違いを整理しておきます。
ワイドフィットになることで、生地の重なりや叩きの密度が、ストレートよりもゆとりを持って配置されているのが大きな特徴です。
面積が広い分、一箇所に加工を凝縮させるのではなく、全体に分散させることで、加工の力強さはありつつもリラックスした印象に仕上がっています。
このゆとりのあるリペア配置こそが、ワイドデニムならではの要素だと言えます。
配色のバランスを重視したCS134
ここからは、同じワイドシルエットでありながら、加工の個性が全く異なる3つのモデルを個別に確認していきましょう。
まずは、色落ち部分と色残り部分の配色バランスが精巧に取られたCS134です。
色落ち部分と色残り部分の配色バランスが精巧に取られたCS134です。
このモデルは、色味の異なるデニム生地、刺子生地、さらにはスレキなどを組み合わせたパッチワークの緻密な配置が特徴です。
淡いブルーの領域と、インディゴが色濃く残った領域の対比が計算されており、一本のパンツの中で視覚的なリズムを楽しめます。
パッチワークの重なりがシルエットの立体感を強調しており、どの角度から見ても表情が変化します。
CS134のスタイリング
補強ステッチと非対称な配置が際立つCS136
よりクラフト感が強く、遊び心のあるアプローチを取り入れたCS136です。
あえて均整をとらない粗野なリペアや、未補修箇所を残したような配置がこのモデルの大きなポイントです。
ダメージ箇所に対して裏側からインディゴ生地を当て布として配置し、水色の糸を用いてミシンで叩く補強構造を採用しています。
左右非対称に配置された異素材が、リアルな着用履歴を感じさせ、履き込むことでさらに複雑な表情へと変化していきます。
CS136のスタイリング
セルビッジデニムの質感を強調したCS137
インディゴの色落ちの階調と、ワイドなシルエットそのものを楽しみたい方に適した一本です。
他の2モデルに比べるとリペアの密度を抑えた仕上げですが、その分、旧式織機で織り上げられたセルビッジデニム特有のアタリや質感をダイレクトに味わうことができます。
ベースの加工を抑えているからこそ、丸みを帯びたシルエットがはっきりと視認でき、足元の溜まりによる色の濃淡も強調されます。
CS137のスタイリング
芯張糸による縫製強度の確保
FDMTLの服作りにおいて、デザイン以上に重要なのがその堅牢な構造です。
激しい加工が施されていますが、縫製にはポリエステルの芯に綿糸を巻きつけた芯張糸が使われています。
そのため、綿糸ならではの経年変化を楽しみながらも、ワイドパンツで懸念されがちな股擦れや縫い目の裂けを防ぐ高い強度を確保しています。
旧式の織機で織られた証である赤耳(セルビッジ)仕様も、裾をロールアップした際の確かなアクセントとなります。
日常で長く愛用できる、実用的な仕様となっています。
スタッフの着用サイズ感
体型の異なるスタッフが着用した際のバランスをまとめました。
ウエストの寸法だけでなく、丈感とボリュームの好みでサイズを選べるのがワイドモデルの特徴です。
| スタッフ | 着用サイズ | サイズ感 |
|---|---|---|
| スタッフA(174cm / 68kg) | Size 32 | 標準的なジャストサイズです。丸みのあるシルエットが一番はっきりと出るバランスです。 |
| スタッフB(170cm / 60kg) | Size 30 | ウエストには余裕がありますが、ベルトで絞って少し位置を落として履くことで、ワイド感を強調しています。 |
| スタッフC(180cm / 65kg) | Size 34 | 高身長を活かし、大きめの34を選択しています。裾の溜まりを出しつつ、ボリュームのある着こなしに最適です。 |
クラフトマンシップと現代的プロポーションの融合
今回ご紹介したアイテムの要点をまとめます。
- 股上の深さと裾の絞りが生む、風船のような独自のシルエット
- ストレートモデルよりリペア配置にゆとりを持たせた、ワイド専用のデザイン
- 芯張糸とセルビッジデニムによる、風合いと耐久性の両立
- 履き込むことで変化する、三者三様のインディゴの表情
単なるトレンドのパンツではなく、ブランドの軸である加工技術を自由なプロポーションで楽しめる一着です。
この重厚ながらも軽快な履き心地を、ぜひ店頭で確かめてみてください。
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