本日はFASCINATE_THE R(大阪 心斎橋)とFASCINATE KYOTO(京都 河原町)の両店で取り扱っている各ブランドから、25-26AWコレクションで展開されたデニムパンツをセレクトしてご紹介いたします。
今回はデニムパンツ特集ということで、シーズン問わず着用いただけるアイテムばかりをセレクトしています。
デニムパンツならではの素材や色味はもちろん、異なるシルエットやデザインの豊富なラインナップをセレクトしていますので、是非チェックして、今シーズンから着用してみてはいかがでしょうか。
Maison MIHARA YASUHIRO | 常識を覆す「二重構造」。迫力あるヒュージシルエットのデニム
Huge Layered Jeans (Black) / A15PT027
Maison MIHARA YASUHIRO(メゾン・ミハラヤスヒロ)が提唱する「既視感のあるアイテムに違和感を与える」手法が色濃く反映された、象徴的な「Huge Layered Jeans」。最大の特徴は、「通常サイズの上にさらにワンサイズ大きいデニムパンツを重ねたような二重構造」。実際に2本のパンツを重ね履きしているかのような重厚感とウエスト周りのボタンやベルトループが二重に見える視覚的なユニークさが、見る人を驚かせる遊び心に溢れています。単なるワイドパンツを超えた圧倒的な「ヒュージシルエット(巨大なシルエット)」を描き、生地を贅沢に使用した二重構造により、着用した際に独特のドレープと立体的な広がりが生まれます。
足元に向かってズドンと落ちる迫力あるラインは、シンプルなトップスと合わせるだけでもコーディネートの主役になる存在感を放ちます。素材はしっかりと厚みのある日本製コットン100%ブラックデニムを使用しており、カジュアルさが抑えられ、構築的でアバンギャルドな雰囲気を演出。ベルトループに加え、内側に調節可能なドローコードが付属しているため、ベルトなしでもイージーパンツのように腰位置を調整して着用できる機能性も兼ね備えた一本です。
KAMIYA | 90'sウェストコーストの再解釈。切り替えが効いたモダンなデニムショーツ
Switching Denim Wide Bermuda Pants FULL COUNT x KAMIYA (INDIGO) / G14FC102
デザイナー神谷康司氏が手掛けるKAMIYAと日本が世界に誇る老舗デニムブランド「FULL COUNT(フルカウント)」との強力なコラボレーションによって誕生した5ポケットのバミューダパンツ。このアイテムは、KAMIYAの得意とする「ニューヴィンテージ」な感性と90年代のウェストコースト・ストリートの空気感を融合。左半身などに施されたスイッチング(切り替え)デザインが、単調になりがちなデニムショーツにKAMIYAらしい再構築的な違和感とアクセントを加えています。
最大の特徴は、FULL COUNTの代名詞である13.7オンスのオリジナルセルビッジデニム。綿花の中でもハイクオリティで知られるジンバブエコットンを100%使用しており、繊維長が長いため、「驚くほどの軽さ」と「肌に馴染む柔らかさ」を実現しています。厚みがあるのに柔らかく、吸水性・通気性にも優れているため、夏場の着用でも快適です。シルエットは全体的にゆとりを持たせたリラックス・ルーズフィット。膝下丈に設定されたバミューダ丈は、子供っぽくならず、ブーツやボリュームスニーカーとの相性を計算した絶妙なバランス。長年履き込んだかのような繊細な加工が施され、耐久性も兼ね備えているため、ガシガシ履き込んで自分だけの経年変化を楽しむことができます。
SEVESKIG | 着るアートピース。RIDAWO氏のグラフィティが宿るヴィンテージセルビッジ
Graffiti 5P Denim Pants Ver,Ridawo (INDIGO) / PT-SV-NGA-1004
SEVESKIG(セヴシグ)が得意とする加工技術とイラストレーターRIDAWO(リダヲ)氏による強烈な個性を持つアートワークが融合した、今季のテーマを象徴する一本。最大の特徴は、デニムをキャンバスに見立ててRIDAWO氏のグラフィティアートが全体に落とし込まれている点。ポップでありながらどこか「毒気」や「アンダーグラウンド」な雰囲気を感じさせる独自のタッチが、ノスタルジックかつエッジの効いた表情を生み出します。デニムにはセルビッチ使用のXXタイプというクラシックな生地を採用し、SEVESKIGならではの「やりすぎない」ヴィンテージ加工を施すことで、ハードなグラフィックが乗っても安っぽくならず、ラグジュアリーなストリートウェアとして成立しています。
シルエットは流行に左右されすぎない、王道のストレートライン。「ズルっと腰で履く」スタイルがオススメの履き方。裾にクッションを持たせることで90年代〜00年代初頭のストリート感を演出できる設計となっています。履き込むほどに、ベースのインディゴカラーが落ち、グラフィックとの馴染みが変化していく経年変化(エイジング)も同時に楽しめる、「着るアート」と言える仕上がりのデニムです。
PDF | 砂色に汚れた退廃的な美。特異な混紡素材が描く「スカイスクレイパー」フィット
EBISU JEANS (LEATHER HAND MPELL) / DFM03026DF183MPELL
日本の伝説的デニムブランド「EVISU(エヴィス)」への明確なオマージュを、PDFらしい建築的かつラグジュアリーな手法で再構築したデニムパンツ。最大の魅力は、バックポケットにブランドアイコンのグラフィックがレザーパッチ(アップリケ)で大胆に配置されている点。通常はペイントで施されるディテールをあえてレザーで表現することで、立体的な質感と高級感が生まれています。混紡素材(リサイクルコットン、ビスコース、ポリエステル)を使用することで、見た目の重厚感とは裏腹に「柔らかさ」と「落ち感」を両立。着用した際にゴワゴワせず、建築的で構築的なラインを描くことを可能にしています。
シルエットは、股下が長く設定された「スカイスクレイパー(Skyscraper)フィット」。太めのストレートシルエットながら、裾にかけて自然なたまり(クッション)が生まれ、ボリュームのあるスニーカーと抜群の相性を誇ります。深みのある「ダーティーイエロー(Sabbia)」のデニム地に、ハードな汚し加工(ダーティー加工)が施されており、退廃的でモードな雰囲気を纏う、真のクラフツマンシップが詰まった一本です。
FDMTL | 旧式シャトル織機による赤耳デニム。時代を超えて愛されるクラシックストレート
CLASSIC FIT DENIM CS129 (INDIGO) / FA25MG129
FDMTL(ファンダメンタル)のブランド哲学が凝縮された定番のクラシックストレートフィットデニムパンツ。デザインの背景には、「架空の職業の人が長年穿き込んだデニム」というロマンティックな物語が存在します。その物語を具現化するのが、ダメージやリペア加工に加え、6色の糸を使ってデザインとして施された緻密な刺し子(サシコ)のディテールです。当て布の上から叩くステッチにも異なる色の糸を使用するなど、非常に手の込んだアートワークは、デニムを単なる服ではなく「着る物語」へと昇華させています。
素材には、旧式のシャトル織機でゆっくりと時間をかけて織られた赤耳(セルビッジ)デニムを採用。生地表面の自然で立体的な凹凸が、独特の風合いと美しい色落ち(アタリ)を生み出します。また、1960年代から70年代初頭のヴィンテージに見られるイエローとオレンジが混在したステッチワークや、隠しリベット、Vステッチなど、デニムの歴史に敬意を払ったディテールを随所に再現しています。シルエットは、全体的にゆとりのあるリラックスしたストレートフィット。ヒップから太ももにかけてゆとりを持たせつつ、裾に向かってごくわずかにテーパードさせることで、野暮ったさのない美しいストレートラインを実現。快適性を重視したストレスのない履き心地とトレンドや世代を問わず長く愛用できる普遍性を兼ね備えた一本です。
KHOKI | 動きを形にする「立体裁断」。独自の曲線を描くワイドテーパードデニム
3D cutting denim pants (Indigo) / 25fw-p-02
KHOKI(コウキ)が得意とする「立体裁断(3D Cutting)」を駆使し、シンプルながらも他にはない美しいシルエットを構築したデニムパンツ。平面的なパターンではなく、人間の体の動きや曲線に合わせて生地を継ぎ合わせることで、着用した瞬間に独特の立体感が生まれるよう設計されています。この多角的な切り替えは、いわゆる「カーブパンツ(バレルシルエット)」に近い形状を描き、横や斜めから見た時に膝付近に自然な屈曲や「溜まり」が生まれる、静止していても動きを感じさせるフォルムです。
実際の手触りは、ツイル織りとネップ(繊維の節)によって丈夫でコシがありながら、着用を繰り返すことで着用者の体に馴染み、柔らかく変化していきます。複雑なパターンでありながら「ダーツや切り替えを多く使用し縫製箇所をできる限り取り除く事で、動きやすい、ストレスを感じない」というスタッフの体感も、この構築的なシルエットが機能性に優れている証明です。後見頃のバックルバックディテールや、黄色のステッチがヴィンテージなアクセントを加え、履き込むことで切り替え部分にアタリが強く出るなど、立体的で陰影のある色落ち(エイジング)が期待できます。
NO MAINTENANCE | 日米の長所を融合。岡山産デニムがLAで仕立てるクワイエット・ラグジュアリー
JAPANESE BAGGY DENIM (DARK WASH) / NM-0047-DW
NO MAINTENANCE(ノーメンテナンス)が提唱する「クワイエット・ラグジュアリー(ストリート版)」を体現した、正真正銘のバギーデニム。このアイテムは、世界最高峰の岡山県産セルビッジコットンデニムをLAに輸出し、現地の熟練職人が縫製と加工を行うという、日米の長所を掛け合わせたハイブリッドな製造背景を持ちます。素材は通年着用に最も適した14オンスを採用。バイオウォッシュ加工によって、ヴィンテージのLevi's 501のような奥行きのある表情を表現しています。
シルエットは、1990年代〜2000年代初頭のカルチャーからインスパイアされた、ヒップから太もも、膝にかけてたっぷりとボリュームを持たせたバギーシルエット。裾幅も広めに設定されていますが、丈感のバランスにより、バッシュ系スニーカーやブーツの上で美しく「溜まる(スタッキングする)」ように設計されています。バックポケットに施されたブランドの幾何学的なシグニチャーなど、過度なロゴに頼らず、シルエットと素材の良さで勝負する、長く愛用できるストリートの定番です。
daisuke tanabe | 硫化黒×茶綿。深煎りコーヒーのような色味をデストロイ加工で描くデニムパンツ
Coffee Black Denim Trousers dstryd (Black) / 00_903
daisuke tanabe(ダイスケタナベ)のシグネチャー素材である「コーヒーブラックデニム」に、高度な加工技術「dstryd(デストロイ)」を施した、ヴィンテージとモードが融合した一本。このデニムの魅力は、硫化染料で深く染め上げた黒の経糸(タテイト)に対し、ナチュラルな風合いの茶綿(ヨコイト)を旧式織機で丁寧に織り上げている点にあります。この独自の構造が、単なる黒ではなく「深煎りのコーヒー豆」のような、温かみと奥行きのある独特なアッシュブラックを表現しています。
加工はデニムの聖地・岡山県児島のウォッシュハウスにて、「酸による色落ち(アシッドウォッシュ)」と「レーザーによる破砕(破壊)」というハイブリッドな手法を実施。長年穿き込んだようなフェード感と、擦り切れたようなダメージをリアルに表現し、退廃的でアルチザンな雰囲気を強めています。シルエットは股上を深く設定し、腰回りをすっきりとさせ、裾に向かってストンと落ちるワイドストレート。まるでスラックスのような美しい佇まいを保ちながら、ブーツやボリュームスニーカーに被さるような男らしいラインを描きます。ボタンには経年変化が出やすい無垢鉄製、リベットには軽量なアルミ製を採用するなど、細部に至るまで素材選びに拘り抜かれたブランド哲学が凝縮された一本です。
MASU | 新定番「テーパード」。MASU BOYSラインの構築的な一本
MB TAPERED JEANS DIAMOND (Black) / B25F9PL006
MASU(エムエーエスユー)が今季のテーマ「20XX」を象徴し、従来の極太シルエットから新しく提案する「TAPERED(テーパード)」ラインのデニムパンツ。このアイテムは、天使のように性別や年齢に捉われない自由な精神を持つ人々を指す「MASU BOYS」ラインに位置づけられています。最大の特徴は、MASUの象徴的なモチーフであるアーガイル柄(ダイヤ柄)をレーザー加工によるブリーチ(脱色)で表現している点。裾から太ももにかけてグラデーションのように柄が浮かび上がるこの手法は、ベースのUSED加工デニムと相まって、奥行きのある複雑な表情を生み出しています。
シルエットは、腰回りには程よいゆとりを持たせつつ、裾に向かって綺麗に細くなるモダンなプロポーション。オーバーサイズのトップスと合わせた際に、上下のメリハリ(コントラスト)が美しく出るように設計されています。素材は通年着用に最適な13オンスの日本製デニムを使用。ジーンズの聖地・岡山県の工場で縫製・加工が行われており、職人の手仕事によるヴィンテージ加工とレーザー加工という最新技術が融合した、MASUらしいクラフトマンシップを感じる逸品です。
D.HYGEN | 虚実が交錯する「クラスト・ジャガード」。ブランドを象徴するツイストカーブ・シルエット
Hand Patchwork Class Tojacquard Overlock Twisted Curved Pants (Black) / ST107-0125A-C
クラストコアのパンクスをイメージしたパッチワークデザインを、織り(ジャガード)と手作業の双方で表現したD.HYGEN(ディーハイゲン)のデニムパンツ。ベースとなる生地は、ツギハギやダメージ、ハンドステッチの縫い目などをプリントではなくジャガード織りの凹凸と柄でリアルに再現したオリジナル素材。この「織りで表現された偽物の継ぎ目」と、さらに製品段階で施された「本物のパッチワーク」が混在することで、奥行きのある複雑な表情を作り出しています。
シルエットはブランドの代名詞である「ツイストカーブ」。膝下から後方向に加えて、横方向にもツイストさせたパターンで構成され、着用時に立体的で美しいドレープ(シワ)が自然に形成されます。素材はコットンにポリウレタンを混紡したストレッチ素材。見た目はハードで重厚ですが、高い伸縮性を持ち、「見た目は鎧、履き心地はジャージ」と評されるほどの快適さを実現しています。極太の「0番手」の糸を使用したオーバーロックステッチは、縫い目自体がデザインの強いアクセントとなり、ブランドコンセプトである「緊張主義(STRAINISM)」を象徴する無骨な雰囲気を醸し出します。
ISŌ | ワークウェアの伝統を継承。洗練された黒で魅せるコラボレーションデニム
ISO x ANACHRONORM Washed Denim Baggy Pants (Black) / ISO-031-TRS
ISŌ(イソウ)と、日本のデニムの雄ANACHRONORM(アナクロノーム)が共作したバギーデニムパンツ。ISŌはThe Viridi-anne、DEVOA、individual sentimentsのデザイナー3名が集結した「ドリームチーム」であり、本アイテムはANACHRONORMのオーセンティックなデニム背景に、ISŌチームの緻密なパターンワークとモードな感性が融合した一本と言えます。素材には最適な厚みのタフなデニムを使用し、製品洗いによって購入直後から履き込んだような「柔らかさ」と「肌馴染みの良さ」を実現しています。ブラックデニムを選択することで、ワークウェアの土臭さを残しつつも、アルチザンブランドのトップスとも違和感なく馴染む洗練された雰囲気に。それでいて濃いインディゴ(ブラック)もしっかりと残っているため、着込むほどに自分だけの色落ち(経年変化)も楽しめます。
シルエットは全体的にゆとりを持たせた「大人のバギー」フィット。生地に適度な重さと柔軟性があるため、着用するとズドンと広がるのではなく、縦に綺麗に落ちる美しいドレープが生まれます。また、ウエストにはベルトループに加え、クラシックなワークウェアのディテールであるシンチバックと、サイズ調整を可能にするサスペンダーボタンを配置。本格的な仕様がバックスタイルの強力なアクセントとなり、短靴からブーツ、スニーカーまで合わせる靴を選ばない汎用性の高いアイテムです。
Ann Demeulemeester | 擦れと滲みが層を成す。コーティングが表現する抽象的なヴィンテージ
ANNO Pants (VintageBlue) / 2520MTR56
Ann Demeulemeester(アンドゥムルメステール)の世界観が凝縮された、時間の痕跡をキャンバスに写し取ったかのような抽象的な加工が魅力のデニムパンツ。インディゴデニムの上にコーティングを重ねることで、退色(フェード)と上品な艶感という相反する要素が同居。このコントラストが、カジュアルなデニムをモードの領域まで引き上げています。ブランドを象徴する黒のグログランリボンがワンポイントとして配備されており、ハードな加工感の中にこの繊細なラインが入ることで、全体をキリッと引き締め、ブランドらしいエレガンスを添えています。
前後に施されたダメージとリペアパッチ、バックポケットのパッチワークは、擦れや滲みが層のように重なり、立体的な奥行きを表現。シルエットは、ブランド特有の「落ち感」を楽しめる絶妙な太さの「ANNO」フィット(ストレート〜ややリラックス)で、ブランド定番のレースアップブーツなどとの相性がいいです。使い込むほどにコーティングが馴染み、生地の陰影がより深まっていく、「育てるモードウェア」として長くお楽しみいただける一本です。