FAS-GROUP各店のバイヤー独自の視点でお届けする、2021SS(春夏)コレクションレビュー。
今回はRIPVANWINKLEの2021SSコレクションについて、バイヤー、保田の所見をお届けします。
20代前半から10年以上RIPVANWINKLEのバイイングし続けている自分にとって、展示会とは買い付けをしているというより、RIPVANWINKLE好きの1人としてコレクションに参加するというのが自分の中にある感覚です。
そこにはもちろん新作を一足早く見ることの嬉しさとワクワク感があるのですが、毎回サンプルや資料を見るときには楽しみと同時にバイイングに対する独特の緊張感があります。
すでに第一便が入荷している今回のコレクションはブランドにとって48回目という、『50』という数字がいよいよリアルに見えてくる回です。
節目が間近に迫ってきた今回のコレクションを私、保田の視点で解説していきたいと思います。
21SSのイメージルックの一枚。配色やアイテムのカラーは今シーズンのポイントの一つ。
私のバイイングはまず、一冊用意されたスワッチと呼ばれるテキストを受け取るところからスタートします。
その中には、今回のアイテムの写真とカラー名なども書いているのですが、楽しみや期待が膨らむ項目が『商品名』に加えて実は『カラー名』なんです。
しかしこれは昔からではなくて、以前の弊社で行ったデザイナーインタビューの取材の際にわかった、ブランドのカラー名に対するこだわり。
取材をした上でわかった事実は、私がコレクションに向き合った際の見方を少し変えてくれました。
今回加わった、後ほど出てくる[OSMIUM GRAY]なんかは特に、”読み方なんていうんだろう”、という疑問の傍、過去のコレクションを思い出しながら、グレーが多かったシーズンを思い出させるカラーでした。
秋冬はダークで重みのあるコレクションが主流の印象ですが、春夏シーズンは色物のカットソーがあったり、ナイロンやジャージー素材を明るい色で展開したり、ショートパンツの登場も含めどちらかというとスポーツテイストもミックスされた内容になるというのがイメージです。
昨年でいうとその代表がBJテックのマウンテンパーカーのREDでした。21SSシーズンはどような展開があるのかとまったく想像はできませんでしたが、全体を見ていきました。
カラーとしましてはホワイトやグレーベージュ、コヨーテに加えてサンドベージュといった新色が加わっている21SSコレクションですが、それらが目立つ一方で、シーズンカラーというよりも明るい色の中にも引き締まった『黒』が印象的なコレクションとなりました。
そのコレクションルックがこちらです。
タクティカル フーディ - RW-319によるモノトーンのスタイリング。
自分の眼に映った、『黒』をくっきりと浮かび上がらせるルック。
インナーをホワイト、パンツをグレーベージュで合わせたルックは、黒を引き立てているように私の眼に飛び込んできました。
こちらのルックで使われているのは、すべて新型。真っ先に目に飛び込んできたアイテム名は、TACTICAL
HOODIE/RW-319といい、SOLID
BLACKという新しいカラー名のもの。
ドライタッチのコットンとナイロンの素材が50%の素材でできた、ややオーバーサイズのフーデッドブルゾン。
これが、自分の眼に映った、昨年のREDのマウンテンパーカーと真逆の『黒』をくっきりと浮かび上がらせた21SSの新カラーでした。
タクティカルショーツ - RW-338
パンツは同じくTACTICALシリーズのショートパンツ/RW-338で、シーアイランドタイプライターストレッチという、超長綿を使用し高密度に織り上げた素材です。
一見するとセットアップに見えそうなルック上下も、実はパンツがBLACKという色名で、SOLID
BLACKとはまた異なる黒を表現しています。
このルックには、RIPVANWINKLEが表現する21年の新しいスタイルを感じ、その存在感を大きく感じました。
3/4 サイドポケット-T - RW-328
インナーにはハニカム組織の素材を使用した3/4 SIDE
POCKET-T/RW-328。
シームに沿い小型のポケットを配備したカットソーで、数シーズン展開のなかった3/4スリーブは、個人的にパラシュートパンツやベースボールTを着て過ごした10年以上前の記憶を思い起こさせる、懐かしく、思い出深くもあるスリーブでした。
スキニージャージー - RW-313 GRAY BEIGE
合わせている明るいカラーのパンツが目を引いたのですが、これが今季のスキニージャージー/RW-313
GRAY BEIGEです。
春夏定番の素材、フレンチテリーで登場ですが、20SSから継続してブランドが提案するスタイルである『ショートレングスパンツとジャージーパンツとのレイヤード』を写し出したスタイル。
加えて、ロングレングスのソックスレイヤードに目が行きました。
RIPVANWINKLE生産担当松下さんとの話の中でも出てきたのですが、この組み合わせはブランドがこの春夏に提案するスタイルのひとつです。
通常であればショーツとのレイヤードはレギンススタイルになりがちなところを、独自に構築したジャージーパンツとのレイヤードスタイルは、それぞれが単品使いができるアイテムで、季節で使い分けて着用可能です。
このスタイルを定着させたい、というブランドの意思が伝わってきます。
ちなみに昨年
ブランドの公式サイトではデザイナー大野氏もこのスタイルで登場していました。
MA-1にBUSH SHORTS、下にSKINNY
JERSEYを合わせるスタイル)だったのですが、『なかなか真似できない』というところから始まって、徐々に浸透していった印象です。
この『真似できない』というファーストインパクトを、『自然』に変えていくところがブランドのすごいところであり、魅力であると私は感じています。
早い方ではすでに定着したスタイルですが、この着こなし方こそ、RIPVANWIKLEがモード、スポーツをバランスよくミックスさせる、いわゆる『スポーツの要素』
このソックスによる足元の見せ方は、自分が知っている北欧系のアウトドアブランドでも見かけたことがあり、発見したときは妙な共通点に嬉しさもこみ上げてきましたね。
ミドルカットの新型シャークソールシューズ、ブーティ ハイ - RW-324
ソックスレイヤードのワンクッションがあることで、ミドルカットの新型シャークソールシューズ/RW-324とパンツのバランスを軽すぎず、かといって重すぎない印象に仕上げています。
このテクニックがすごく好きで、自分でも秋冬から実践中。
気がついたらソックスをレイヤードしている時なんかはよくあります。
こちらのBOOTIE
HIGH/RW-324はスタイリングの重要な鍵を握る、オイルワックススウェードとエラスティックとのコンビネーション素材を使用したシューズです。
粗野で無骨な表情とスポーティな素材を融合させた、テイストに偏りをもたないバランスを重視したRIPVANWINKLEらしいアイテムです。
足首がきゅっと細く、バックジップで穿きやすい。 ボリューム感も適度にもたせながら、アッパーは雰囲気のあるレザー仕様となっています。
リネンジャージーライダース - RW-316
20AWのシングルライダースデザインをベースにオリジナルのストレッチ素材が好評なリネンジャージー素材を使用し仕上げたライダースジャケットが登場。
インナーはアシンメトリーなスラントカットデザインのロングスラブジャージー素材を使用した春夏のニットアイテムです。
ただし、こちらのニットも実は小技が効いていて、サムホール仕様です。
左側には先ほど登場の3/4 SIDE
POCKET-T同様、隠された様にポケットを装備しています。
ロングスラブ ジャージー - RW-302
このあたりのギミックは長い歴史の中でも見なかったつくりで、目を奪われたというよりも驚いたディテールのうちのひとつです。
以前までのコレクションには無かった革新的なディテールは、現代社会に必要なマスクの収納性なども考慮しており、それがDOLMAN
S/SとPHOTO-Tはじめ、一部のトップス以外には付いている徹底ぶりが私を楽しませてくれました。
ソリッド ジャージー Black - R+161
合わせた新型のSOLID
JERSEYは裾にマイクロファスナーを装備し、白く走るステッチは、コンパクトリッチ裏毛の素材にオーバーロックを乗せたディテール。
ジャージーパンツにアルチザンな雰囲気を漂わせたデザインでテイストミックスの代表的な要素です。