はじめに:なぜ今、マスターマインドなのか
大阪心斎橋店、京都河原町店にて、2026年春夏シーズン(2026SS)より、
「mastermind JAPAN(マスターマインド・ジャパン)」および
「MASTERMIND WORLD(マスターマインド・ワールド)」の正規取り扱いを開始いたします。
mastermind JAPANは1997年に本間正章氏がスタートさせ、MADE IN JAPANを軸に、日本の素材・伝統技術・最新技術をリアルクローズへ落とし込むことを続けてきたブランドです。
アイコンのスカル&クロスボーンも、ただの“ロゴ”というより、作り込みや質感への執念を象徴する印として成立している——そんな印象があります。
なぜここまで長く支持されるのか。
その理由はヴィジュアルの良さやネームバリューで片付くものではなく、むしろ売れない時期を経験した本間氏が、採算や常識を飛び越えて“比べられないレベルのもの”を作る方向へ振り切ったことにあります。
実際に、海外での展示会をきっかけにLAの名店Maxfieldのバイヤーからオーダーが入り、一気に状況が変わった——という転機も、ブランドの物語として語られています。
今回は連載第1回として、2026SSの展開を前に、このブランドが歩んできた「歴史」とともに、その本質的な「魅力」を紐解いていきます。
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1. 行き詰まりが導いた“振り切り”の品質(1997-2000)
華々しいイメージとは裏腹に、mastermind JAPANの歴史は「どん底」から始まりました。 1997年の創業から約3年間、ブランドは全く売れませんでした。
当時は裏原宿ブームの全盛期。周囲が行列を作る中、本間氏の展示会にはバイヤーが寄り付かず、在庫が積み上がっていく日々でした。
「いつブランドを畳むか」。 精神的に追い詰められた状況下で、本間氏は一つの決断を下します。
「どうせやめるなら、最後に原価を無視して、自分が本当に作りたい最高のものを作ってやめよう。」
これが、mastermind JAPANの魅力の根幹である「採算度外視の品質追求」が生まれた瞬間でした。売れるための服作りを捨て、自分が信じる「最高」だけを追求する。
この時の「開き直り」とも言える狂気こそが、後に世界を驚愕させるクオリティの原点となったのです。
2.パリで起きた転機(2001-2003)
2001年、本間氏は最後の挑戦として、パリの展示会に参加しました。これはビジネスというよりも、自身の夢への「葬式」のようなつもりだったと言います。
そこで奇跡が起きました。 ロサンゼルスの伝説的セレクトショップ「Maxfield(マックスフィールド)」のオーナー、Tommy Perseが、ふとハンガーにかかっていたカシミアのカウチンセーターに触れ、足を止めたのです。
「これは何でできているんだ?」 彼はデザインを見る前に、その圧倒的な素材の手触り(テクスチャー)に衝撃を受けました。 無名の日本人デザイナーが作った、高額なセーター。
しかし、そこには本物の「Made in Japan」の魂が宿っていました。Tommyはその場でオーダーを入れ、mastermind JAPANは一夜にして世界中のセレブリティが憧れるブランドへと変貌を遂げたのです。
このエピソードは、今のFASCINATEがこのブランドをセレクトする理由にも通じています。「名前ではなく、モノの良さで世界を動かした」という事実こそが、最大の魅力なのです。
3. スカルに込められた「哲学」(Philosophy)
ブランドの象徴であるスカル(骸骨)。 これは単なる不良やパンクのアイコンではありません。1,000回以上の書き直しを経て完成したこの表情には、本間氏の深い哲学が込められています。
・「死ぬまで夢を諦めない(Never Give Up Your Dream Until You Die)」
・「骨になれば、人間は皆平等である」
創業時の苦難を乗り越えた本間氏だからこそ語れるこのメッセージは、着る人の背中を押し、生き様を肯定する「お守り」のような力を持っています。
ただの流行り廃りではなく、強い意志を持った人々に愛され続ける理由は、この普遍的なメッセージ性にあるのです。
4. 絶頂期での「死」と「再生」(2013-Present)
そしてブランドは伝説となります。 人気絶頂の2008年、「ブランド設立15周年を迎える2013年をもって活動を休止する」と宣言したのです。 「拍手されるうちに去る」。桜のような散り際の美学を貫き、2013年、mastermind JAPANは一度その幕を下ろしました。
しかし、世界は彼を放っておきませんでした。 休止中も高まり続ける熱狂に応える形で、2017年、ブランドは復活を果たします。
単なる再開ではありません。日本の職人技術を継承する「mastermind JAPAN」と、世界のラグジュアリーストリート市場を見据えた「MASTERMIND WORLD」という2つのラインに進化しての帰還でした。
結び:2026年、物語を纏う
一度死に、蘇ったブランドだからこそ持てる、揺るぎない強さと美学。 mastermind JAPAN / MASTERMIND WORLDが紡ぐ服は、単なるファッションアイテムを超え、挫折と栄光のストーリーを内包した「着るドラマ」です。
2026SSより、FASCINATEはこの伝説的な「日本の黒」を皆様にお届けします。 次回Vol.2では、多くの人が気になる「なぜこれほど高価なのか?」という疑問に対し、「素材の狂気」と「JAPANとWORLDの決定的な違い」という視点から、そのプロダクトの凄みを徹底的に解剖します。