PROLETA RE ART デザイナーインタビュー
創作の哲学と原点
2021年11月01日

作り手の思想にフォーカスを当て、クリエーションの裏側にせまるデザイナーインタビュー企画。

今回は新しく取り扱いを始めるPROLETA RE ART(プロレタ リ アート)について。

製作の過程や創作の裏話について、デザイナーにお話を伺いました。

PROLETA RE ART

一度人の手を離れた古着を究極に作り込んだリペアとカスタマイズ、ヴィンテージ加工による「ハッキング」を施し、「一生手放したくなくなる服」を作る事を目的に、2021年3月にスタート。

PROLETA RE ARTはデザインから仕上げまで全ての工程をアトリエで行う事で、作品のクオリティをコントロールして、自身のイメージを理想の形に具現化する。


ANNASTESIA NAGOYAを拠点に販売員として店頭に立つ傍ら、メディア編集者として活動している。

舞台や広告カメラマンの経験を経て入社した専属フォトグラファー。


-- 幼少の頃はどんなことをして過ごしていましたか?

物心つく前から漫画やテレビゲームが好きで、よくキャラクターを真似して絵を描いたり、粘土で遊んだり、プラモデルを作ったりと、自分の手を動かして何かを作ることが楽しくて色々なものを作って遊んでいました。


子供の頃は親の仕事の都合で転校が多く、友達ができてもすぐに離れ離れになる生活でしたが、転校先でも自分が作ったものに同級生が興味を示してくれて、それをきっかけに友達ができる事が多かったです。

-- 自分の作ったものが人とのつながりも作ってくれていたのですね。

ただ、そうしてできた友人とも短期間で別れることを繰り返す生活だったので、当時は兄と一緒に遊んでいた時間の方が多かったように思います。
学業優秀だった兄の影響を受けて、中学生の頃は特に学業に励んでいました。


しかし、進学先の高校では勉強の話ばかりしている同級生とはあまり馴染めず、次第に勉強にも飽きてしまい、特に目標もなくフラフラとしていたところ、それを見かねた母が「絵を描いたり、造形が好きなんだったら美術大学を目指してみたら?」と提案してくれて、美術大学の予備校のパンフレットを取り寄せてくれました。


そこには同年代の予備校生が描いたハイレベルなデッサンの参考作品が載っており、それまで同年代で自分より絵が上手な人に出会った事がなかった私は衝撃を受けました。


それからすぐに入校し、浪人生に混じって死に物狂いで造形の訓練を受け、東京の美術大学に進学しました。

大学では親友と呼べるほど親しい友人もでき、彼らとアジアの国々をバックパッカーの旅をしたり、作品制作に打ち込んで充実した時間を過ごしました。

-- 芸術の道ではなく、ファッションの道に進むきっかけはなんだったのですか?

現在のスポーツブランドはそれぞれが色々な商品価格と品質バランスにおいて圧倒的パフォーマンスを持っていると思います。


もともとファッションにも関心が強かった私は、大学在学中に偶然とあるブランドの存在を知り、非常に興味を持ちました。
そのブランドの商品を実際に見てみたい衝動に駆られ、店舗に赴き実物を見て、改めてそのデザインとクオリティに惚れ込み、新卒の募集に応募してデザイン部に入社しました。


入社後は、ヴィンテージ加工とリメイクに特化したデザイン部に配属され、そこで縫製やヴィンテージ加工の知識と技術を身につけ、デザインの思想も学びました。

--- そこにはどれくらい在籍していたのですか?

約10年在職して、5年を過ぎた頃に上司が退職し、デザイン部のリーダーを任されるようになりました。
それまでは自分の手でサンプルを作り、工場に職出しをしてというサイクルでしたが、多くの部下ができ、自分はデザイン画を描いて、それを部下や工場の職人の方達に指示を出して、多数の品番のデザインと管理をメインとする業務にだんだんとシフトしていきました。

-- 製作現場全体を動かしていく立場になった訳ですね。

自分の考えたものを自分の手で造形する事が好きで今まで物作りをしてきた自分としては、やりがいは大いにあり、名誉ある仕事だと感じていました。


しかし、管理職になり、だんだんと自分の手を動かして造形をする時間が減っていき、人の管理に時間を使うようになっていくにつれ、初心を忘れてしまいそうになる瞬間もありました。

-- それからどのような経緯でブランドを立ち上げたのですか?

会社を退職後、自分のこれからの仕事の仕方や、方向性に悩んでいた時に、今一緒に制作をしているパートナーと、美大生時代の親友が背中を押してくれたこともあり、「初心に帰って、自分の考えた物を自分の手で作るブランドを始めてみよう」という考えに至り、今年(2021年)の3月から私のブランド「PROLETA RE ART(プロレタ リ アート)」を始めました。

-- PROLETA RE ARTというブランド名にはどんな意味を込めているのでしょうか?

PROLETA RE ARTのコンセプトは「資本主義社会における、無産階級の労働者、持たざる者、PROLETARIAT(プロレタリアート)」から引用しています。


一度人の手を離れた古着を、徹底的に作り込んだリペアとカスタマイズ、ヴィンテージ加工を施し、単なる「REPAIR」ではなく、「RE ART」という感覚を持って、「一生手放したくなくなる服」として、ウェアラブルな作品に「転生」させることを目的にしています。


全てのデザインを私一人が、全ての制作は私とパートナーの二人のみが行う事で、完全なるクオリティコントロールを補完します。

--「完全なるクオリティコントロール」とは、具体的にどのようなことを指しているのでしょうか?

私の創作において「自分の考えたものを自分の手で作る」という事に一番重きを置いており、それは全ては「思い描いたものを、思い描いた通りの形にする」為です。
草案から完成までの間に人が入れば入るほどそれは確実に困難になります。
自分の手で制作することによって、最初に考えていたイメージとは別のアイデアが浮かんでも、作業中にクイックにアレンジする事ができ、作品のクオリティをさらに高いものに更新する事ができます。

-- 製作しながら作品をより良くしていくと言う点では、一番良いやり方かもしれませんね。

一般的なアパレルの生産のように、多数の人間を介してサンプルを作り、それを見本に大量生産する。といったサイクルとは真逆の作り方ですが、自分のスタンスやブランドのコンセプト的にも一番そのやり方が合っていると思い、そのやり方を続けています。


また、自分の手で全て完結することを念頭に置いているため、デザインが、作れるかどうかわからない「絵に描いた餅」ではなく、人に気を遣うことも無く、明確かつ具体的に自分のイメージ通りの作品が作れるので、徹底しています。

-- 差別化という点では、購入した作品のリペアやカスタムオーダーを行うという点も非常にユニークな試みです。

私の作品はお客様が着用をし続けて壊れた場合、ご希望があれば私自身がリペアを行います。


ただ単にリペアをするだけでなく、さらにデザイン性をプラスするリペアをして、更に愛着が湧くような、お客様の人生にずっと寄り添うような、ウェアラブルな作品を提供したいという思いからです。
また、カスタムオーダーに関しては、通常ベースとなる古着は私が手配しますが、ご希望があれば、お客様の着古した私服を預かり、リペアとカスタマイズをすることが可能です。


「一生もののウェアラブルな作品を提供したい」この考えはどこからきているのでしょうか?

話せば長くなりますが、私がまだ小学校低学年の頃、父親が使用していた、くたびれたレザーの財布を目にした事がきっかけです。

-- それはどんなものだったのですか?

私の父はファッションには一切関心が無く、安物の茶色のレザーの財布を長年使っsていて、それは長年使い込まれることにより、レザーの表面は手の脂が染み込み、黒光りした艶が出て、真鍮のボタンやファスナーは緑青のサビが発生し、破れた場所は簡易的なテープで補修されていましたが、それすらも剥がれかけていた、なんともみすぼらしい個体でした。


しかしその財布は、父親が使い込んだそのストーリーや、大したメンテナンスもせずにラフに扱われた痕跡が、オーラとして私に語りかけていました。

-- それほど惹かれるものだったと。

当時の私にとってはどんなオモチャやアニメーションなどよりも、その財布が特別で魅力的に見えていました。
父は買い替え時だと言っていたのですが、私は父に頼み込んで、その捨てられそうになっていた財布を譲り受けました。
父親は不思議がっていましたが。


このように持ち主が身の回りのものを用いてリペアやカスタマイズされ、その後さらに長年使い込まれると、その個体は持ち主の人間性が反映されたようなオーラを纏います。


私はそういったものに非常に興味があり、古着をアップサイクルする理由は、リペアやカスタマイズをし続けることによって、その服は時を重ねる毎に変化し、ただの経年変化とはまた違った格好良さを更新していくと信じているからです。
そしてその価値観やストーリーの面白さを、自分の造形のコンセプトとして表現してみたいからです

--「使い続ける」という点では、サスティナブルという考え方に通じるものがありますね。

意図したわけではないのですが、結果としてそうなっていますね。
工場で大量生産される服が、生産時に裁断の工程で大量の端切れが出て、それが廃棄され、売れ残った在庫はセールプライスで売られ、それでも売れなかった在庫は焼却処分されていく...


私自身、そんなアパレル産業のサイクルに違和感を感じていたことも多少影響があるのかもしれません。
ただ、私個人の考えとしては、近年散見する表面的なエコやサスティナブルを謳うのでなく、デザインとクラフトの力により結果的にお客様がその服を一生持っていたい、と思って頂くことこそが真のサスティナブルだと思います。

-- 作品の特徴はどんなところにあるのでしょうか?

PROLETA RE ARTには二つの柱となるラインがあり、一つは「UROBOROS ウロボロス」もう一つ「MEME ミーム」と呼んでいるラインです。

-- まず「UROBOROS ウロボロス」とは、どんなラインでしょうか?

「UROBOROS ウロボロス」とは循環性、永続性(死と再生・破壊と創造)、無限性(不老不死)を意味するUROBOROSという言葉から引用していて、BOROをモチーフにしたシリーズのタイトルにしています。
激しく損傷した古着のジーンズやデニムジャケットなどを、高温洗浄後、全てのパーツを解体し、リペアを施した後、ヴィンテージのUSAのバンダナや、100年前の日本の藍染めの古い布などをパッチワークし、刺し子ステッチやミシンステッチを大量に施した後、再度元々の服の形に縫製し直します。


その後特殊なヴィンテージ加工を施し、日本の文化遺産ともいえる「BORO(ボロ)」を想起させるウェアラブルな作品に昇華させます。
古い布などを用い、BOROというフィルターを通して、一度持ち主の手を離れ役目を終えた素材達に新たな命を吹き込んでいます。

--「BORO(ボロ)」との出会いは何がきっかけだったのですか?

「BORO」を知ったのは、前職のブランドの服を美大生の頃、初めて見た事がきっかけでした。
激しいヴィンテージ加工が施されていたその商品は本物のヴィンテージと見間違えるクオリティで、その上でヴィンテージには無い仕様のデザインやディテールがとても新鮮でした。


店員さんから「これは1人の人間がデザインからリメイク、ヴィンテージ加工のフィニッシュ作業まで行っている」と伺って大変驚き、そのブランドに非常に興味を持った事もきっかけでした。
それからヴィンテージ加工という特殊な作業によって、本物のヴィンテージ品を凌駕するオーラを服に纏わせる事ができるのではないかと思い、BORO制作の研究を続けています。

--「ミーム MEME」はどんなラインでしょうか?

MEME ミーム」は「Internet Meme インターネットミーム」から引用しています。
私は中学生くらいの頃からインターネットで面白い画像を探したり、素人が描いた下手なキャラクターの絵を見たりするのが好きでした。


美大生時代に、東南アジアやインド、ネパールなどを旅していた際、個人商店や屋台などの看板に描かれた下手だけど味わいのある歪なミッキーマウスなどの誰もが知っているキャラクターの絵を見て、それらがとても印象的だった記憶があります。
さらにそれらは雨風にさらされ、風化し、哀愁を纏いつつ、彼らの生活の風景に溶け込み、独特な味わいを帯びており、私の脳裏に焼き付きました。
私にとってどんな高名な画家の名画よりも、素人や子供が描いたり作ったりした、下手だけど歪で味のある作品が何よりも好きで、芸術であると思っています。
そういった感覚を「MEME」のデザインに取り入れています。
こちらはもう一つきっかけがあり、「ハッキング文化」に由来しています。

--「ハッキング文化」というと?

中学生くらいのころ、パソコンでインターネットをしていた時にたまたま「HACK ROM」という、個人がファミコンソフトのデータをハッキングして、キャラクターのデザインやBGM、エフェクトやステージ構成を改造し、そのゲームの原型は残しつつも、全く違うゲームに作り替えるという文化があるという事を知りました。
もちろん違法だとは思いますが、そのファミコンソフトの熱狂的なファンが改造したその作品は、オリジナルの難易度を遥かに凌駕し、BGMやエフェクトもオリジナルより刺激的で新鮮でした。


それは非営利目的で、そのファンの超個人的な目的の元制作されたものですが、オリジナルのゲームソフトを何度もプレイし尽くした私としては極めて衝撃的で、オリジナルよりも興奮しました。
漫画などにも同人誌という文化がありますが、稀に超絶技巧をもったファンが、オリジナルの作品よりも圧倒的なクオリティで描いたイラストなどを見つけると、笑いが止まらなくなります。
「HACK ROM」の、オリジナルを凌駕するファンアートの興奮が忘れられなくて、「MEME HACK TOONS」を制作するに至りました。

-- ミームのシリーズで使われているキャラクターはどのような手法で作成していますか?

基本的に全て手刺繍により制作しています。
モチーフによってかかる時間は様々ですが、長いもので1週間かかるものもあります。
モチーフを選ぶ基準は私が日々の生活の中で目にした、歪で味わいのある奇妙なモチーフを発見した際に、それを改変して造形しようとひらめいたを採用しています。

-- PROLETA RE ART、ウロボロス、ミームのタグについて、それぞれどういった意味合いがありますか?

PROLETA RE ARTについては全てを包括するコンセプトで、全ての作品に取り付けています。
「REBIRTH & CUSTOMIZE WORN OUT MATERIAL」という言葉にもあるように、使い古された素材を、リメイクとヴィンテージ加工によって転生させるという意味が込められています。
デザインは古いアメリカやフランスのワークウエアの織りネームを参考にしています。

ウロボロスのデザインは、古代からモチーフとされている「己の尾を噛んで環となったヘビもしくは竜を図案化したもの」で、「死と再生」、「不老不死」を意味しています。
遠くから見ると、JAPAN MADEである、日本の国旗のようにも見えるようにデザインしています。

ミームのタグのデザインは、「プロビデンスの目」をモチーフとしており、「万物を見通す目」を「ハッキング」したデザインになっています。
魔法陣のようなデザインにもなっており、誰もが知りうるキャラクターやモチーフをハッキングという魔法(グリッチしたデザインとヴィンテージ加工)を施し、良い意味で、見た人を困惑させる意図があります。

-- 現在はウロボロスシリーズ、ミームシリーズなどこれまで製作した作品は全部でどのくらいありますか?

今までに制作したウロボロスは50種類ほど、ミームは40種類ほどあります。
全て一点物です。

-- リメイクのベースとなるアイテムの選定については、何を基準で選んでいるのでしょうか?

基本的にすでに使用感があり、色落ちやダメージのある個体を選んでいます。
元々の持ち主が使い込み、その人の使用した痕跡や人間性が色濃く反映された個体を見つけた時は特に創作意欲が湧いてきます。

そこに私がストーリーを加え、リメイクとヴィンテージ加工を駆使して質感を加速させ、古着ではありえないデザインを、あたかも昔から存在していたかのように成立させます。

-- デザインの核となる要素は何でしょうか?

「ヴィンテージ加工」です。
「ヴィンテージ加工」はその技術を極限まで高めると、本当に昔からあった古着の風合いを超えるオーラを纏うことがあります。
裁断や縫製などの技術は、長い歴史を持ち高度な装置や、熟達した職人による技術が確立されていますが、ヴィンテージ加工においてはそれらに比べてまだ歴史の浅い分野であり、日々様々な加工工場や技術者達が、身の回りにある道具を改造したり、加工の工程を入れ替えたり応用したりすることにより、日々新しい技術が更新されていく分野です。
ヴィンテージの服は私は昔から好きで集めていましたが、「ヴィンテージやアンティークだから希少価値がある、ありがたいものだ。」という風潮には私は違和感を感じており、あくまでファッションとしてヴィンテージ品を取り入れるべきで、骨董品を扱うようなものでは無いと私は思うのです。

-- 「ヴィンテージ加工」についてはどのように捉えているのでしょうか?

ヴィンテージ加工と聞くと、「古着の焼き直しや、所詮レプリカでしょ?」と否定的な意見を持つ人はいますが、私はヴィンテージ加工は「映画の特殊メイクと同じ役割」と考えていて、その作品のテイストやストーリー、リアリティを担保する極めて重要な要素として尊重しています。
映画の特殊メイクをネガティブに思う人は少ないと思います。


骨董品のレプリカを作りたいのではなく、誰も見たことがないオーラやストーリーを彷彿とさせる作品を作るために私はヴィンテージ加工を大事にしています。
「ハッキング」という言葉を私は、古着をヴィンテージ加工によって、質感を加速させ、デザインとして昇華し、オリジナルのヴィンテージ品をありがたがる価値観を良い意味で混乱させる為の一石を投じる意味合いで使用しています。

-- 刺し子などの手作業を作品に取り入れているのには、どんな理由があるのでしょうか?

手作業による刺し子や刺繍などは、コンピューターミシンで行うそれよりも、良い意味で不均一で味わいがあり、柔らかい質感や素朴な風合いになりますので欠かせない要素です。
しかしミシンで行う堅牢なステッチや無機質で正確な直線や強度も私は好きなので、それらの要素を複雑に織り交ぜ、綺麗なだけの既製品では出せない風合いを追求しています。
また、本物のヴィンテージやアンティーク品のような、「風合いは素晴らしいけれど、実際に着用するには脆すぎて不安かもしれない…」といった心配も無く、しっかりとした強度も保っています。

-- 製作していて楽しさを感じるとき、また、大変を感じるときはどんなときですか?

作品は私とパートナーの2名のみで制作していて、デザインは私が一人で行っていますが、特にミームの刺繍に関してはパートナーの造形力によりクオリティを担保している部分が大きいです。
私の作品は工程が非常に多く複雑で、特に古着の解体やヴィンテージ加工の作業は身体への負荷が大きく、非常に大変です。


しかし作業がゾーンに入り、自分の想定していた完成像を、クラフトの力によって凌駕した時に、大きな喜びと楽しさを覚えます。
作品のクオリティは毎回、過去のものを更新できるまで、作業を止めることはしません。

-- ものづくりにおいて一番大切にしていることはどんなことですか?

「完成度」が一番大事だと思います。
どんなに優れたコンセプトとデザインでも、モノとしての完成度が低いまま世に出すと、それは伝わらずに簡単に駄作に成り下がってしまいます。
そういった意味では、デザイナーのアイディアを形にする職人が軽視されがちな現状を心苦しく思っています。


もちろんデザイナーは素晴らしい職業ですが、高い技術を持った職人の方々の地位も、同じくらい保障されるべきだと思っています。

-- 「プロレタ リ アート」の今後の展開について教えてください

今後も私とパートナーは独自での創作活動を続けます。ブランドを大々的に拡大するつもりはありません。


それよりも、生産数の制約がある中で品質を向上させ、本当に欲しいと思ってくれるお客様に適切な価格で提供する方法をしていかなければいけないと考えています。

-- あなたにとって、「プロレタ リ アート」とは何ですか?

冒頭で述べた「PROLETA RE ART」のコンセプトは、「持たざる者」が古着や道具を修理し、着用し、絵を描くといった、身近なところで見過ごされがちな内省的なアートに着目することです。


わかりやすく評価されるような作品だけでなく、「名もなき芸術」にも注目する価値観を持つきっかけとなれば、人生も楽しくなるだろうし、物への愛着も湧いてくると思いながら、日々制作を行っています。

-- わかりました、この度はありがとうございました


PROLETA RE ART(プロレタ リ アート)