2021SS コレクションレビュー
The Viridi-anne 2021SS Collection
2020年12月4日

The Viridi-anne

FAS-GROUP各店のバイヤー独自の視点でお届けする、2021SS(春夏)コレクションレビュー。

今回はThe Viridi-anne (ザヴィリジアン)の2021SS(春夏)コレクションについて、.LOGY京都バイヤー、高島の所見をお届けします。


バイイングは主にMaison MIHARAYASUHIRO、ATTACHMENT、KAZUYUKI KUMAGAIなどを担当。
.LOGY京都の店長も兼務。


こんにちは。.LOGY Kyotoの高島です。

セレクトショップに勤めて15年、3年目からは店長として店頭業務と共にバイヤーとしても働かせて頂き、今日まで至ります。

そんな私がかれこれ13年ほど担当しており、愛してやまないブランドの1つに「The Viridi-anne」があります。

そんなThe Viridi-anneの「21SS先行予約会」を本日から開催するにあたりまして、今回は展示会を直接見て来た私の感想やお勧め商品などをご紹介させて頂ければと思います。

また、デザイナー岡庭氏からもコレクションへの想いや昆虫画を手掛けるアーティスト桃山鈴子氏とのコラボレーションに至ったきっかけ話などお聞きして参りました。

デザイナーの岡庭さん曰く、2021SSシーズンのスタート当初は特別な「テーマ」は設けてなかったそうなんですが、あるとき偶然立ち寄ったアートブックのお店で見かけた桃山さんのイモムシの作品がペイズリー柄のように見え、「すぐに洋服にするイメージが湧いてきた」んだそうです。

それから、桃山さんにコンタクトを取り、見せていただいた作品を生地に落とし込むことを決めたそうですが、いざ生地のデザインを始めてみると、使う作品のピックアップやモチーフのレイアウト、色決めの作業がとても繊細なバランスを必要とする作業で、何度も修正と変更を繰り返して、ようやく一つの生地が完成。

そんな作業をしているうちに、「昆虫学者」という仕事が頭をよぎり、架空の昆虫学者の生活を空想することから今回のコレクションを制作していくことに。

具体的な作品制作にあたっては

・昆虫学者が昆虫を採取するため、山などのフィールドで着る服

・自分の研究室でのリラックスした服

この2つを軸にしています。

また、同時期に「CORDURA NYCO(コーデュラ ナイコ)」からカプセルコレクションの話もあり、タフなナイロン素材はまさに今回のコレクションで考えていた「フィールド」というピースにピッタリとハマったことから、徐々に21SSの構想が膨らんでいったそうです。

◆一際目を引いた桃山鈴子氏の ‘INSECTS’ シリーズ

21SSシーズンで真っ先に目に止まったのは「桃山鈴子氏の ‘INSECTS’ シリーズ」

私が視力が良くないのもありますが、初見で見たときは「ペイズリー柄?」と思って近づいて見てみると「え?虫?」となったのを覚えています(笑)

このシリーズは非常に繊細に昆虫が描かれており、生地自体が既に作品と言っても良いクオリティ。

生地に対しての絵の発色加減が綺麗で、柄としての見え方も非常に美しい仕上がりなので、じっくり見てしまいます。

「昆虫の絵」をモチーフにしているのは個人的にも面白いアイテムとは感じて、ジャケット、テーパードパンツ、そしてシャツ(*シャツは柄が違います)をセレクトしました。

セットアップはもちろんですが、単品で無地のアイテムと合わせても良いアクセントになりますし、何よりスペシャルなこの商品を「店頭でお客様に観て欲しい」という気持ちが勝りました。

国内でも流通量は少なくなると思いますので、我こそはというThe Viridi-anneファンの方には是非お早めにチェックして頂きたい作品です。


◆注目の柄はスクエアプリント リネンシリーズ

The Viridi-anneの商品の中でも個人的にいつも注目しているのがシーズン毎のオリジナル柄の作品です。

過去にもランダムチェック、ランダムストライプなどブランドならではの解釈で作られた柄物がリリースされてきまして、個人的にもセットアップやアウターを購入してきました。

The Viridi-anneの柄物はやはり一般的な柄の見せ方とは一線を画していて、例えば「チェック柄なんだけどチェック柄し過ぎていない」変則的なチェックなど、いつもユニークな仕上がりになっているのが魅力的です。

そんな柄物シリーズですが、21SSでは「ランダムスクエア柄」という新たな柄が登場しています。

柄の入り方もくどくないので、単品での使用も非常にしやすいのがこのシリーズの魅力です。

ブランドの雰囲気もしっかり味わえるので、初めてThe Viridi-anneを着る方にも手に取ってみて頂きたいですね。

個人的には「Black Stripe」が一押しですが、非常に綺麗な「Mint Green Stripe」もコートで入荷予定なのでご注目ください。


太さの異なるスクエア柄を『あえて柄合わせをせずにランダムに裁断」して使用している為 、ストライプのようにプリントが入った個体やスクエアの角が入ったものなど、1点1点の柄の入り方にも個体差があり、同じ物が2つと存在しないオンリーワン具合がまた唆られますね。

ボディにはソフトで軽さのあるリネンブロード生地を使用し、春夏の装いにピッタリな仕上がりです。

個人的に21SS一押しのシリーズとなっており、こちらに関してはコート、ジャケット、テーパードカフパンツ、ショートパンツとフルラインナップでセレクト。

セットアップでの着用が本当に格好良いので、ご予算に余裕があれば是非上下で着てみて頂きたいです。

◆後ろ身頃が「トンボの羽を拡大したイメージ」のシームデザインのシャツ

デザイナーの岡庭さんは「シーズンテーマに沿ったデザイン」を作品の所々に組み込んでいくわけですが、そのテーマがブランドのアルチザンテイストとベストマッチしている商品がこのシャツシリーズです。

フロントの見た目はシンプルな胸ポケット付きのシャツなのですが、後ろ身頃のパターンがパッチワーク調に仕上げられています。

展示会で見た際も「お、これはカッコ良い!」と普通に反応してしまったのですが、そのパッチワークパターンが「トンボの羽のイメージ」と聞いた時には、岡庭さんのこだわりの詰め込み具合に嬉しくなって少し笑ってしまったのを記憶しています。

こういった"ただのパッチワーク"とも取れるデザインの根底にある部分を、理解してその商品を身につけるのと知らないまま身につけるのとでは、その価値が大きく違うと思っています。

マニアックな話にはなりますが、そういう細かい部分こそ私達販売員がお客様にしっかり伝えるべき部分だと切に思いますね。

そして、このマニアック心を共有出来たなら幸せです(笑)


◆強撚コットンツイルシリーズ

個人的な生地の嗜好ですが「綿100%」の生地がやはり好きで、冬でもウールニットではなくコットンスウェットを好んで着用することが多いです。

肌に合うという表現をすればそれまでですが、イージーケアの部分も含め、自分のライフスタイルには綿生地は欠かせない物になっています。

そして、この「強撚コットンツイルシリーズ」もやはり綿100%生地。

ただし、触れてみて頂ければわかると思いますが綿100%とは思えない滑らかさ、しっとりとした柔らかさを持ち合わせています。

新型のベスト付ジャケットは、内側にワークベストがドッキングしたようなデザインで、Tシャツやシャツに羽織るだけで雰囲気の良い上半身を演出できると思います。

また、パンツ2型に関しては単品使いが非常にしやすいバランスの良い仕上がりになっているので、The Viridi-anneを購入したことがないお客様にもまずは1本お勧めしやすいパンツですね。

綿100%とは思えない滑らかな生地感は、気温上昇時にも快適な着心地をご提供出来ると思います。

この生地にはウールや化繊混紡のような生地のドレープ感もあるので、その特徴を十分に味わっていただけそうなベスト付ジャケットとテーパードパンツ、クロップドワイドパンツをセレクトしています。

こちらもセットアップでの着用が素晴らしく、The Viridi-anneというブランドの雰囲気をたっぷり味わって頂ける仕上がりです。

◆ブランドのらしさが詰まったシューズ

The Viridi-anneを長年担当して来て思うのが「シューズが非常にうまい」ということが1つあります。

近年は空前のスニーカーブームになり、The Viridi-anneに限らず、各ブランドがオリジナルシューズをリリースすることが減ったようには思いますが、 それでもスポーツブランドがリリースするそれとは全く異なるアプローチによって作られるシューズは毎シーズン楽しみにしている商品になります。

そんな個人的にもお楽しみのシューズですが、今回は3型をセレクトしております。

その中でも特にストラップシューズとLOWカットスニーカーはお勧めですのでご紹介します。

・ストラップシューズ

まずはデザイン、The Viridi-anneを昔からご存知の方であればこのフォルムは懐かしさも感じるのはないでしょうか?

恐らくリリースされていたのはもう10年?ほどは前かもしれませんが、このようなバレーシューズのようなストラップシューズはよくリリースされていたんですね。

私もインヒールのデザインの物が好きで色違いで購入したりしておりました。

そんな懐かしさも漂うストラップシューズが「イタリアTEMPESTI社の上質レザー×グッドイヤー製法」で復刻になります。

これはViridi-anneファンの方なら"買うしかない!"ようなシューズが登場してしまいました(笑)

私もこれは買いたい、いや買います。嫁に怒られようとも!(笑)

まずは見た目、グッドイヤー製法になったことで以前にリリースされていた”ちょっと可愛らしいサンダルシューズ”から"重厚でしっかりとした短靴"へとチェンジ。

スニーカーは楽で快適で好きですが、そろそろ飽きて来たのは確かで、ドシっとしたレザーシューズが欲しいと思っていた私にはずばりハマりました。

手で持つとやはり重さも感じますが、ジャストサイズで履いて頂くと重さも気になりませんし、むしろこの重厚感も心地良いかと思います。

下記にも記載したように経年変化が楽しめるレザーになりますので、長く相棒に出来るかなと思います。

暑い時期はサンダルライクに履くも良し、靴下を合わせれば通年様々なパンツの足元に使いやすいデザインになっています。

レザーシューズをお探しの方には是非お試し頂きたいですね。作りが少し大きめなので、その辺りは御試着にてご確認をお願いします。


・ローカットスニーカー

会社の中でも大のスニーカー好きな私、NIKE・adidasなどはもちろん、担当のMaison MIHARAYASUHIROのスニーカーなんかも多数所持してしまっています。

自分で言うのもなんですがちょっとした病気ですね(笑)

そんなスニーカーバカの私が「おっ!」と思ったスニーカーがこちらの新型スニーカーです。

製法はバルカナイズド製法で、フォクシングテープ(ソール周りにぐるりと巻かれているテープ)とそのテープ同色のレザーをアッパーの上部まで巻くことで「厚底のような重厚感」を生み出した新デザインになります。

昨今流行りのダッドスニーカーのような見た目のボリューム感が少し増しながらも、ブランドのテイストから決して外れないようなスッキリ感も併せ持ったところが良いですね。

個人的にはさり気ない2トーン感のあるWHITEがお勧めです。

◆テーマに沿った小物も充実の内容

私、1年の内、半分以上は何かしらの帽子を被って生活しているのではないかと自負しております。

CAP、HAT、ニットCAPなんでも来いの帽子好きなのですが、そんな私お勧めのサファリハットになります。

長年コラボレートしている「KIJIMA TAKAYUKI」とのコラボレーションHATというところでボリュームやシルエットは間違いなし!

そして岡庭さんも一押しの撥水加工された 「NYCO のツイル生地」をあえてワッシャー加工したシワ感のある表情がまた良いですね。

このHAT、後ろ側に着脱可能なCORDURAリップストップのサンガードが付いているのですが、この部分が「昆虫の羽見たいでしょ?」 と笑って説明してくれた岡庭さんのこだわりが、個人的にはやっぱりグッと来たりするんです。

小物やアクセサリーもシーズン毎に面白いアイテムがリリースされているThe Viridi-anne。

個人的にも幼虫のデザインをクリスタルで作成したネックレスや、手首の尺骨の形をしたシルバーブレス、指関節のシルバーリングなど少し変わった小物を多数所持しています。

今回のルーペネックレスは大変シンプルですが昆虫学者というテーマにも沿ったリリースで春夏のアクセントにも良いと思います。

コロナウイルスのせいですっかり定着してしまったマスク生活。

どうせつけるならこだわりのマスクを、ということで各ブランドからもマスクがリリースされていますね。

そんな流れもあり、The Viridi-anneからもこだわりのマスクがリリース。これは格好良いです。

まずは素材、岡庭さんが一押しのINVISTA社のCORDURA糸と綿糸で織られた日本企画の"NYCO"に撥水加工を別注し、シャリ感のあるドライタッチなツイル生地を制作。

裏地には抗菌防臭のトリコット鹿の子を使用して付け心地の良い仕様になっています。

また、立体的で口周りの空間にゆとりのある設計なので、着用による息苦しさも少ないのはありがたいですね。

こちらは大変ご好評頂き、現在完売中になりますが受注会時に追加分を販売予定ですのでご希望の方は是非受注会に足をお運び頂ければと思います。

最後に...

冒頭でも言った通り、かなり長いお付き合いをさせていただいている ブランドなんですが、岡庭さんの作る洋服は芸術的な感性と遊び心がうまく融合しているといいますか、子供のような純粋さが作品からにじみ出ていて新作を見るたびに新鮮な驚きをくれるブランドです。

今回のコレクションも偶然見かけた昆虫の絵を自分の作品にちゃんと自分のデザインに落とし込んで見せるすごく良いコレクションでした。

どのブランドの洋服にも言えますが、商品作成に至ったバックボーンを知ってから作品を観て頂くと、知らずに見ていた時とはまた違った角度からそれぞれのデザインを感じて頂けると思います。

ちなみに5日にはセールス担当の町田さんが来ていただけますので、皆さんぜひ予約会に足を運んでください!