
丁寧な縫製で製作されているDEVOAの作品。
品質において一切の妥協を許さない姿勢は縫製面にもよく表れています。
DEVOAの複雑なパターンを、熟練の職人が丁寧な縫製で作り上げる作品に込められた思い。
そしてそれを生み出しているDEVOAと縫製工場との関係性、両者の間で共有されている意識とは。
全7回の連載でお送りするデザイナーインタビュー。
第4回の今回は縫製についてのこだわりをお話いただきました。

長崎県出身
スポーツインストラクターを経て2005年、ブランド創設。
自身の経験と知識に基づいたパターンとハイクオリティな物作りが国内外のコアなファッションフリークからの支持を集めている。
"単純に縫うということが難しいわけではなく、品質を伴った思いやりが宿る縫製が難しいと思っています。"
---DEVOAの作品は縫製についてもかなりこだわりがみられます。
価格帯から考えても、そこにこだわる事は当然の事だと考えます。
一番難しい事は複雑なパターンに対しての縫製バランスが最初は難しく、縫製工場へ苦労をかけました。
現在も生地との相性を考え常に縫製者と商品バランスを考えて製作をしています。
---立ち上げ当初からの縫製について変化はありましたか?
DEVOAの変化について大きく変わったことは縫製だと思います。
具体的には縫製をする工場が変わったのが大きいですね。
現在は専門で縫製していただいている場所も数件できて、DEVOA専属でパートナーシップを組めるような工場さんだったりとか、技術的にも高く厳しく私達を指導してくれる工場さんと出会えた事も大きな変化です。
昔のものと比べるとクオリティは上がっていると自分自身でも感じています。
現在、ご協力していただいている縫製工場者様には本当に感謝しております。
全ての作品に私のわがままを具現化しようと、それぞれの失敗や苦労があり、工場者様の思いが込められています。
---具体的にはどれを専属でやってもらっているんですか?
特にアウターです。
アウター関係やジャケット関係は価格に対して特にレベルが高く、細かいことをやってくれていると思います。
アウターの縫製者は昔からいわゆる高級プレタポルテ製品を縫っていた方ですので、手縫いとミシンの両方の要望に対して対応してくれます。
複雑なパターンや高級な生地に対しては特に縫う側のセンスも必要になってくるので、単純に綺麗に縫うことだけではない、ということに沢山気付かされます。

---そういうもの作りの関係性を築いていると。
縫製においては単純に縫うということが難しいわけではなく、品質を伴った思いやりが宿る縫製が難しいと思っています。
縫製側、依頼側とお互いを思いやれる関係を継続していけるかの一点に尽きると思います。
今、私たちと強く繋がりがある工場さんは、いわゆるライン作業ではなく、全ての工程を全部一人で、あるいは二人で縫うという工程でやっていただいているので、僕らにも縫っている人の顔が見えますし、縫っている側も受け取る僕らの顔も見えているという状況にある事がとても大切に感じます。
そういう関係だと、例えば自分が気づかないミスは別として、例えば「ちょっと間違っちゃったな、でもこれでいいや」というその心境には必ずならないという部分がすごく大事で、購入していただくお客様にとってはすごく大事なお金を使っていただいていますし、 そういった思いやりによって商品は出来上がると思いますので、全てのコミュニケーションが商品の品質に関係すると思います。
---一緒に仕事をする上では理想的な関係ですね。
例えば自分たちが出した仕様書に対して、工場側から「こういう形にしたいんなら、もっとこういう風にしたらどうだ」っていう、より良くなるような提案をしてくれたり、気持ちの面でセッションしながらいいもの作ろうということにみんなが同じ方向を向いて進行する関係性を構築することは本当に難しいことです。
もちろんビジネスなので工賃などは高く払っているつもりですが、お金を払えばできる関係性ではないことが難しくとても重要な事です。
---同じ志を持ってくれているか、というのがすごくも大事だということですね。
そうですね。
品質的に高いものづくりを継続するために日々のコミュニケーションを大切にしています。
自分自身がお客様の立場であれば、そういった関係性の中で生まれた商品であれば尚嬉しいと思いますし、愛着を持ってもらえると信じています。
私達は直接お客様と触れ合う機会は基本的にありませんが、常に自分がお客様の立場であれば嬉しいと思う事も大切だと思っています。
---例えば19-20AWの作品で難しかった事はありましたか?
19-20AWで言えば抜染プリントしたコートとブルゾンです。
抜染プリントは手作業で7版を重ねて、裁断した段階でパーツ別で版を製作していて、とても難易度の高いテクニックと時間を要するプリントで製作していただいています。
縫製で失敗するとプリントから全部やり直しになるパーツを使っているので、絶対に縫製ミスも許されません。
そんな状況に加え、生地に関しても4Wayストレッチの生地ですので縫製のピリつきに注意するために十分な放反時間と縫い糸の種類、運針数には気を付けた縫製が必要になります。

次回は日本とイタリアの生地の違いについてお聞きします。