第五回
日本とイタリアの生地の違い
2019年06月25日

第5回目は、西田氏が「服にとって生地の大切さは多くを占めている」と語る生地についての前編。

自らが生地の設計から携わり、開発をしていることからもそのこだわりの深さが伺えます。

今回は日本とイタリアの生地の違いや、それぞれの良さについて語っていただきました。

西田 大介

長崎県出身

スポーツインストラクターを経て2005年、ブランド創設。

自身の経験と知識に基づいたパターンとハイクオリティな物作りが国内外のコアなファッションフリークからの支持を集めている。

"服にとって生地の大切さは表現としての多くの事を占めていると考えています。"

---毎シーズン新しい生地が目を引きますが、生地へのこだわりについて聞かせてください。

これは私のパーソナルな意見ですが、服にとって生地の大切さは多くを占めていると考え ています。

単純に高い生地を使う事が全てではなく、表現としての多くの事を占めているということです。

縫製にも大きく影響するところなので、生地についてはシーズン関係なく、常に開発を進めています。

現在も国内外の数社で生地の試織だったり、実験を進めていますが、独自に生地を製作し、良い素材を探すことはブランドにとって特別なことではないと考えています。

生地開発にこだわって製作するという考えで製作はしていないですし、製作する事が楽しくて毎回作っています。

基本的に6ヶ月~8ヶ月で製作しますが、過去に和紙のストレッチを作った際は和紙の糸にポリウレタン糸がうまくカバーリングできず、2年ぐらい経過した事もありました。

---ここ最近はイタリアの生地をよく使われていますが、日本の生地との違いはどういうところにありますか?

日本との違いは圧倒的に原料の違いにあると思います。

細かくはもっと沢山あります。

原料と整理が全く違うので完全な別物です。

日本は日本の良さがあるし、イタリアはイタリアの良さがありますので、どちらが良いとは言い切れない部分があります。それぞれの別の物という感覚です。

もちろん日本の生地も素晴らしく海外の生地と並行して日本でも沢山の生地を作っていますし、バランスに合わせて使い分けています。

---イタリアと日本では、主に原料が違う。とのことですが、日本では原料が手に入らないからですか?

手に入らない事はないと思いますが、単純にブランドの糸まで使って製作する機屋様が少ないと思います。

例えばカシミヤの繊維がだいたい16ミクロンくらいですが、イタリアの有名紡績会社の場合はバージンウールで14ミクロンとかが普通で、手触りがカシミヤに近い物が多くあります。

弊社で使ったニュージーランドのタスマニアウィントンウールが大体14〜16ミクロンでした。

イタリアのバージンウールの品質自体はすごく良いものが多いです。

ヴァージンウールとウールで価格も品質も大きく差があります。

日本は細かく小ロットで生産していただけるという事と、ジャージー関係においては日本の方が価格とのバランスは良いように感じます。

---日本製のものは均一なものが、逆にイタリアのものはラフというか、イレギュラーが多いイメージがあります。

同感です。

イタリアの生地に関しては本当にイレギュラーが多いというか、いい意味で適当な感じが、色気につながっていい化学反応を起こしているのかなとは思います。

自分が日本で生地を織りつけから製作するときは、そんなにしっかりと決め事をせずに雰囲気など余白を残して要望を出したり、染色も整理も指示させていただいているので大きなブレなどは起きにくいです。

現在はより良い部分を分担して製作する事を念頭において各社に依頼をしています。

---19-20AWで使っている生地で気に入っているものはありますか?

ムラ糸を使ったデニムです。

これは岡山で製作していただきました。

色落ちの仕方もビンテージのデニムとは違う色落ちの仕方をするようにしています。

太い糸と細い糸の色落ちの仕方が変わるので、すごく楽しめる事と生地も

初めは硬いですが徐々に柔らかく変化し愛着が湧くと思います。

特徴は厚手特有のドレープ感と理想とシワの形成が特徴です。

設計上オンスは12オンスで製作していますが、生地段階でワッシャー加工を行い縫製前に生地に膨らみをつけていますので、13オンスぐらいに感じると思います。

この他、全ての生地製作に関しては同じように物語がございます。